絵本で誰もが助け合える社会のきっかけに
【全県】 守山市在住の五十嵐恵子さんと栗東市在住の酒井幸代さんがこのほど、実際の体験をもとに聴覚障害者と聴導犬の暮らしを描いた絵本「聴導犬ポッキー~いつもいっしょ~」(サンライズ出版)を出版した。県庁で出版記者会見を開いた五十嵐さんらは「絵本を読んだ子どもたちが大きくなった時、聴導犬をはじめ、補助犬が共存できる社会に変わってほしい」と期待を語った。
補助犬とは、目の不自由な人の目の代わりとなる盲導犬、体の不自由な人の生活を助ける介助犬、耳の不自由な人に音を知らせる聴導犬の総称。この中でも、聴導犬は認知度が低く、正式に認定を受けているのは全国でも52頭、県内では4頭が活動している(2024年4月19日現在)。
作者の五十嵐さんは2歳の時、抗生物質ストレプトマイシンの副作用で失聴した。聴覚障害は外見からは気付かれにくく、道を歩いている時、自転車のベルが聞こえず怒鳴られたこともあり、「好きで聞こえなくなったわけではないのに」と悔しい思いをしたこともあるという。
五十嵐さんは2007年から社会福法人滋賀県聴覚障害者福祉協会が運営する多機能型通所施設「びわこみみの里」(守山市水保町)に支援員として勤務している。10年、同施設の滋賀県聴導犬育成事業で聴導犬について初めて知り、訓練犬のポッキーと出会った。
聴導犬は耳が不自由な人の代わりに生活に必要な音を覚え、報せる。五十嵐さんはポッキーにキッチンタイマーやインターフォン、自転車のベルなど複数の音を教え、一緒に訓練に取り組んできた。
18年、ポッキーは聴導犬認定試験に合格。現在は新たに聴導犬訓練中のパルムも加わり、五十嵐さんの生活を一緒に支えている。五十嵐さんは「ポッキーのおかげでたくさんの人との縁が結ばれた。頑張ってくれている恩返しができれば」と考え、21年に絵本を出版することを決めた。
イラストは知人で手話通訳士の酒井さんに依頼。酒井さんは「ポッキーと五十嵐さんとの絆が強いことが伝わるような絵本になるよう、精いっぱい描いた」と述べる。
絵本はポッキーの視点で一緒に暮らすけいちゃん(五十嵐さん)の暮らしを助ける様子が柔らかいタッチで丁寧に描かれている。作中には、活動中に入店を断られたり、ペットと間違われたりしたエピソードも取り上げているほか、巻末にポッキーの仕事の様子を見られる動画へのリンクも掲載した。
絵本について五十嵐さんは「特に子どもたちが聴導犬や聴覚障害者について知り、誰もが助け合える社会になるきっかけになれば」と述べている。
同絵本は全38ページ。税込2200円で県内の主な書店やインターネット書店で販売中。問い合わせはサンライズ出版(TEL0749―22―0627)へ。







