笠原工業団地計画
【守山】 畜電池大手のGSユアサ(京都市)とホンダは電気自動車(EV)向け車載リチウムイオン電池の巨大工場を2027年稼働に向け守山市笠原地区に建設する予定だが、電子部品大手の村田製作所(長岡京市)も26年5月完成を目指し、同市のJR守山駅前に18階建ての研究開発施設の建設に着工するなど、産業集積が急ピッチに進む守山市。その光と影を追った。(石川政実)
産業集積急ピッチの守山市―その光と影
市の“GSユアサありき”に反発も
市民団体「笠原工業団地計画を考える会」主催で6日、市の担当者やGSユアサ側で用地買収を行っている大林組と住民らによる懇談会が同市内で開かれた。
住民の一人は「昨年6月にGSユアサの工場進出の話を耳にして、自治会の役員らに聞いたが『知らない』と言われ不信感を持った」と秘密裏に進める市を質した。
市担当者は「昨年6月時点では、地権者の農家から事業に同意を得られるか分からなかったので、その後に同意をもらった段階で笠原地区の地元説明会を開いた」と釈明した。また別の住民は「先月、韓国の電池メーカーの工場で火災が発生し多数が死亡したが、守山市の場合は大丈夫なのか」と不安を訴えた。
市幹部は「韓国で火災があった時の報道で、日本火災学会会長が『日本では消防法という厳格な法令があり、あのような火災は起こらない』とコメントしており安心してもらっていい」と答えた。
笠原工業団地に予定されているのは、JR守山駅北から約4キロにある同市笠原町の農地約40万平方メートルで、図の東地区約18万平方メートルはGSユアサグループ企業、西地区22万平方メートルは市土地開発公社が開発し誘致する計画だ。
市では「東西両地区で50億円の増収が見込める」と同工業団地開発を市の最上位計画に位置づけて、GSユアサグループ企業が目指す27年稼働に向け、地権者との交渉に全力を挙げた。
昨年6月の第2回地権者説明会で、市はGSユアサの進出予定をはじめて報告した。同10月の第3回地権者説明会では地権者に対し同意書提出を要請し、同11月に99%の同意が得られたという。ようやく同12月になって市は笠原地区の地元説明会を開き、計画概要を示した。だが本格的な周辺自治会への計画概要の説明会は今年1~3月にかけてだった。
地権者が多い笠原自治会以外のある周辺自治会の役員は「市から計画概要が示されても、計画の具体的なものは、ほとんど決まっていなかった。地権者への用地買収(現在、4割)が進む中、異論をはさむ余地などなかったが、もうこれ以上“GSユアサありき”で強引に進めるのは許されない」と顔を曇らせる。
市担当者は「27年稼働はあくまで最速のケースで、遅れることもあり得る」と焦りをにじませた。
GSユアサは工場計画を明らかにすべき
日本環境学会元会長・元大阪市立大学大学院教授 畑 明郎
6日の「笠原工業団地計画を考える会」に対する説明会では、守山市土地開発公社と⑭大林組が報告したが、GSユアサグループ企業の工場建設計画が説明されておらず、どんな工場なのか?公害の有無などが明らかでないので、GSユアサグループ企業は計画を説明する必要がある。
GSユアサグループ企業の工場は、リチウムイオン電池工場と考えられるが、次のような火災事故と重金属汚染の危険性がある。
1995年11月4日に福島県郡山市のソニー・エナジー・テックのリチウムイオン電池工場で火災事故が発生し、2015年2月23日にも同工場で火災事故が発生した。2017年9月に村田製作所がソニーから同工場を買収した。
2024年6月24日に韓国・ソウル近郊のリチウム電池工場で火災が発生し、23人が死亡、約3万5000個のリチウム電池が次々と爆発した。このように発火性の強いリチウムイオン電池を扱う工場は、常に火災事故の危険性がある。
また、リチウムイオン電池の正極には、コバルト、ニッケル、マンガン、鉄などの重金属の化合物を使用し、負極にはカーボン(炭素)を使用する。
コバルト、ニッケル、マンガンなどの重金属は、日本で排水基準や環境基準は定められていないが、毒性があるので、海外では規制されている。これらの重金属による排水・土壌・地下水汚染の危険性がある。
このためGSユアサグループ企業は、工場建設計画を市や住民に説明する必要がある。これに対し、市は火災対策を始めとする公害防止等の対策の徹底を住民の納得が得られるように求めるべきだ。








