国立極地研究所特任教授の青木輝夫氏
【東近江】 国立極地研究所特任教授の青木輝夫氏が3日、「東近江市から考える地球温暖化と北極の環境変化」をテーマに西堀榮三郎記念探険の殿堂で講演した。同館と国立極地研究所は、地球温暖化を考える企画展(10月6日まで)を共催しており、同講演はその一環。
講演では、1850年以降の世界平均気温の上昇(1・45度、北極は4倍)の原因が温室効果ガス(CO2)であることが明らかとし、濃度対策を何ら取らなければ2100年までに最大5・7度上昇し、海水膨張や氷床の解氷により海面水位は84センチ上昇するとした国際的な研究組織(IPCC)の予測を紹介した。「低地にある都市部は水没してしまう。子孫に対して負の遺産を残してはいけない」と訴えた。
今後1・5度超で引き返せぬ状況
国民的議論の必要を訴える
とくに影響の受けやすい北極圏ではすでに顕著だ。1990年代後半からグリーン氷床の損失が加速しており、繁殖した雪氷微生物が暗色化して太陽熱を吸収し氷床を溶かしている風景を画面に投影した。
一方、東近江市の年平均気温はこの100年で4・57度上昇し、日本全体の1・35度よりもはるかに大きく、その理由を内陸にあることや都市化の影響とみた。
また、気温上昇が今後1・5度を超えると、元に戻らない現象(氷床の融解とそれに伴う急激な海面上昇、永久凍土の融解と温室効果期待の追加的発生)が顕著に発生するとしたIPCCの報告を紹介し、警鐘を鳴らした。
このうえで青木氏は、「1・5度上昇は待ったなしだが、一方で期待されるCO2回収技術、再生可能エネルギーや水素エネルギーへの完全転換、核融合など新エネルギー開発には時間がかかる。それまでの時間稼ぎとして気候工学の実施について議論が必要だ」と、国民的な議論を呼びかけた。
気候工学とは、気球などで微粒子(硫酸エアロゾル)を成層圏(高度10キロ~50キロ)にまき、太陽光を反射させる人為的な気候変動の対策。自然界のモデルでは火山の日傘効果があり、1991年のフィリピン・ピナトゥボ山噴火で太陽光が最大5%減少し、北半球の平均気温が0・5度~0・6度、地球全体では約0・4度低下した。
一方、副作用として干ばつなどの農業や生態系への影響、オゾン層への悪影響が指摘されている。
日野町から参加した三浦和枝さん(59)は、「温暖化がぎりぎりのところまで来ていることにショックを受けた。まず、自分ができる対策を考えていきたい」と話していた。







