公社 和解条件で組合人事への介入に動く 未払い金3500万円が回収不能も
【近江八幡】 県主導で2007年4月に近江八幡市に開設された滋賀食肉センターは、滋賀食肉公社(公社)が同センターの管理運営(施設使用料徴収)、(株)滋賀食肉市場(市場)が同センターで牛のと畜・解体、滋賀県副生物協同組合(組合)が内臓処理をしているが、係争中の公社と組合では現在、和解交渉が暗礁に乗り上げている。(石川政実)
センター開設当初から県による、と畜計画の見込み違いで、市場と組合の売上げが伸び悩み、昨年12月末現在の組合の施設使用料未払い金累計額は、約3500万円に上る。
このような中、19年に組合の元理事長が恐喝容疑で逮捕された。公社は、大野和三郎元県議の意向なども踏まえて、事件を契機に組合の未払い金に照準をあて、組合に対し20年12月、21年4月からの食肉センター施設使用契約書の更新拒否を一方的に通知した。ちなみに元理事長は22年1月に無罪となり、一部で冤罪(えんざい)説も出た。
組合は21年2月、公社に対し「契約は存在している」と大津地方裁判所彦根支部に提訴した。逆に公社が同4月、組合に対し「施設使用料の未払い金を支払え」と同彦根支部に訴えを起こした。
昨年、公社は和解の条件として組合の刀根章理事長、Y顧問、従業員U氏を辞めさせるよう求めたとされている。
これに対し組合は同年12月16日、大津地方裁判所彦根支部に和解条項案の上申書を送った。これは、公社が要望した組合3人を辞めさせることについて、公社から合理的な理由が示されれば協議を継続する内容だった。
しかし公社は同月17日、理事会を開き「和解は見送るべき」と一部理事らの強い声もあり、この方向を打ち出したと見られている。
公社の小川一記専務理事は「現在、訴訟継続中であり、この中身は話せない」と本紙取材に答えた。
公社と表裏一体の県の渡辺正人理事は「近江牛は、市場が枝肉、組合がホルモンにそれぞれして適切に流通されてきたが、今後も裁判の動向を見据えながら県として必要な役割を果たしていきたい」と話した。
組合の刀根理事長は「そもそも公社が和解条件として当組合の人事に理由も示さずに口をはさんだのは不当介入ではないか。公社が和解を拒否して裁判で決着することになって、かりに当組合が敗訴すれば、組合は立ち退きを迫られ、破産申し立てを余儀なくされる。当組合を継続する約束で知人が未払い金(約3500万円)を一括で支払う計画だったが、公社が私(理事長)の解任を提案したことでご破算になった。当組合に替わってどこが内臓処理を引き受けるか分からないが、混乱を招くのは必至」と危惧の念を抱く。
この27日も裁判が開かれるが、公社の出方で近江牛の行方が大きく左右されそうだ。








