戦争体験証言映像の制作者 取材通じて感じた思い
【東近江】 県民の戦争体験証言や県内戦跡を次代に伝える県平和祈念館映像シリーズを手がける制作者を招いた平和学習講座「映像でつなぐ戦争体験と平和」がこのほど、県平和祈念館(東近江市下中野町)で開催された。
講師は、NHK関連会社でエグゼクティブ・プロデューサー(委託)を務める由堅太郎さん(72)と、委託ディレクターの松山秀行さん(51)。講座では、取材を通して感じた思いや責務について、戦後80年を迎えるなかで、過去と現在を映像でつなぐ重要性を語った。
由さんが戦争と平和を深く考えるようになったきっかけは、戦没画学生の作品を保存・展示する「無言館」(長野県上田市)の展示で、2005年には京都市内での企画展を担った。「夢を捨てて国のため戦わないといけなくなった矛盾に関心をもった」と話した。
また、松山さんは、取材現場の思いを語った。毎年5―6人の戦争体験者に出会い、高齢であることを配慮して取材時間を1時間半~2時間に抑えているが、3~4時間に及ぶこともあるという。
「80、90代にとっては大変なエネルギーで、証言を大事に残さないといけないと思う。(1人あたり)15分にまとめるため、使えなかった映像もあるが、今後、大切な資料になる」と語った。
講座では、シベリア抑留やビルマ戦線、軍需工場への空襲、終戦後の満州からの引き揚げ時の証言映像を上映し、体験者が置かれた時代背景や現代に投げかけるメッセージを紹介した。
由さんは、戦後80年が経過し戦争の記憶が薄れる中、「体験者がいなくなったとき、私たちの責務は何かを考えてほしい。憎しみの連鎖を断つこと、隣人を愛することが大切」と「考える力」の重要性を指摘した。
さらに「今の世界情勢をみると、自分の国さえ発展すれば良いという風潮にある。かつて日本は経済発展のため資源を求めて南方、満州へ進出した。めざましい経済発展は本当に正義か。人間の欲望は限りがない。この疑問を持ち続けてもらえたら」と語った。







