書画や書簡など19点展示
◇東近江・五個荘
近江商人博物館は、毎年好評を得ているテーマ展「商家の家訓」を同館常設展示室で開いている。
天秤棒一本から国内外で認められる豪商にまで上り詰めた五個荘商人たちは、立身出世を果たした後も報恩を忘れず、地域の学校建設や各種の公共事業に寄付するなど社会福祉の充実に貢献した。その人生観や道徳は「三方よし」に代表される家訓や店則にまとめられ、次代へつなぐ知恵の結晶として遺されている。
同展は、商家や同館収蔵の十九点を「近江商人の家訓」「教科書に載った近江商人」「その他」に分けて開かれ、入口では社会情勢を見通せるよう大きく目を開けた教訓の「守護狸」が出迎えている。
室内では、塚本定右衛門家の「祖翁(そおう)紅売りの図」が目を引く。同図は、一人の行商人があまりの暑さに一服していると、爽やかな風とともに軒先の風鈴が揺れ、それを見た行商人は「風鈴も動いてこそ鐘が鳴るのだ、自分もさぼっていてはならない」の思いに至ったというエピソードが伝えられ、商いの姿勢と怠心に打ち勝つ事を忘れないために、正月三カ日の掛け物にしていたという。
また、松居久左衛門遊見の「奢者必不久(おごれるものかならずひさしからず」は、必要以上の贅沢をし、気ままな振る舞いをする者は必ず永くその身を保つことが出来ない―と戒めた遺訓。豪商と言われた遊見は質素倹約な暮らしに徹したが、必要なときには多額の出資を惜しまず、社会奉仕に尽くして陰徳を積むことを喜びにしていたという。
このほか、各商家の家訓や店則の心得を一堂にまとめた山村平八家の「商工格言」や、塚本喜左衛門家に伝わる「積善家必有余慶(せきぜんのいえかならずよけいあり)」が展示され、人生の指針ともなる珠玉のメッセージが綴られている。
こうした家訓や格言はどのようにして生まれたのか、「その他」のコーナーでは五個荘商人が学んだ儒教の「四書五経」などを展示し、彼らの教養の高さを紹介している。
九月二十三日まで。大人二百円、小中学生百円。月曜と祝日の翌日休館。問い合わせは同博物館(TEL0748―48―7101)へ。







