日野で「自治創造会議」開催
◇全県
嘉田由紀子知事と県内市町長が行政課題について意見を交わす「第九回滋賀県自治創造会議」が九日、日野町立日野公民館多目的ホールで開かれた。特に国や事業者に対して県が提出予定の“原子力発電所の安全対策等に関する要望書(素案)”をめぐり、出席市町長らは対応時期の遅さを指摘するとともに、県民の命を守る県知事としての覚悟と強いリーダーシップを求めた。
◆滋賀県一丸で
午後二時からの会議では、彦根・甲良・豊郷・多賀の四市町長を除く十五市町長が出席し、座長の藤澤直広・日野町長進行のもと▽原子力安全対策を含む災害対策▽県立高等学校再編計画▽滋賀県版一括交付金制度の構築と進捗状況―の三議題が話し合われた。
中でも、議論が白熱したのは、“原子力発電所の安全対策等に関する要望書(素案)”。地域防災計画原子力災害対策編の見直しに取り組んでいる嘉田知事は「琵琶湖を抱える滋賀県として、県と市町が一体となることで力が発揮できる」と強調し、素案への合意を求めた。
素案の中身は、国あてが七項目(事故究明と原子力発電所の安全性確保・法律の見直し・監視体制強化とデータ提供・災害時の情報伝達の徹底・関係機関との連携強化・原子力防災体制確立のための財政支援・再生可能エネルギー導入への積極的な取り組み推進)、事業者あてが九項目(より一層の安全対策・安全協定の締結・法律の見直し・監視体制の強化・災害時の情報伝達の徹底・情報提供と説明責任・情報提供と連携強化・自然エネルギー導入への積極的な取り組み・電力の安定供給確保)。
◆なぜ今なのか?
事業者に対して高島・長浜・米原・彦根の四市と市町村会、関西広域連合が申し入れを行っていることから「福島第一原子力発電所の事故発生から五カ月経った今、申し入れをする必要があるのか。時期が遅すぎる」(西川喜代治・高島市長)との非難が相次いだ。
対応の遅れに関して、嘉田知事は「六月に原子力防災チームを立ち上げ組織強化を図り、(市町と)丁寧な手順を踏んで進めてきたため時間がかかった。今日の会議に向けて逆に待っていた状態で、決して出遅れていない」と弁明。
◆立地県並みの権限
事業者あて要望書に“原子力施設立地自治体が締結している原子力安全協定と同様に、地域住民の安全確保や周辺環境の保全などを目的に、滋賀県の各自治体との安全協定の締結をすること”との項目を盛り込んだ意図を「原発の再稼働や新設する場合に意見が言えるということを内々に意味している」と説き、嘉田知事は「(要望書は)協議の場へ移る大切な一歩で、次へのステップ」と必要性を強調した。
福井県と事業者との安全協定には事前協議がうたわれているため、「原発再稼働への同意を含め『福井県知事と同等の権限を与えなさい』と強い意志を持って主張・対応できるかにかかっており、滋賀県知事としてしっかりものを言っていただきたい」(西澤久夫・東近江市長)と強いリーダーシップを求める声があがった。
◆新たな課題も
また、「原発立地県は、安全対策のための体制づくりに国や事業者から財源措置がある。隣接県への財源の裏付けも強く申し入れてほしい」(橋川渉・草津市長)や「意見を主張するには体制づくり、体制づくりには事業者と渡り合える人、人には財源が必要となってくる。この仕組みを整理しておかなければ、責任ある対応はできないのではないか」(山仲善彰・野洲市長)との指摘もあり、新たな課題が浮き彫りに。
これに対して、嘉田知事は「原子力工学だけでなく、水処理の知識・技術を持ちながら放射線の影響についても詳しい専門家を、滋賀県として整備する準備をしている」と説明し、会議終了後の取材で今秋配置する方針を明らかにした。
今回の議論を踏まえ、県は、要望書に原発再稼働に際して事前協議を求める項目を追加し、全市町の再合意を取り付けた上で、八月中に申し入れを行うことを決めた。
◆情報公開の重要性
自治創造会議で意見が交わされた三議題に共通するのは、県の責務の明確化と併せて、各市町との事前協議・情報共有不足という問題で、結論に至るまでの議論過程の開示が強く求められている。







