滋賀県議会議員 今江 政彦
さる5月21日、福井県の大飯原発の運転の差し止めを求めた住民訴訟で福井地裁が再稼働を認めない判決を出しました。また、判決では250キロ圏内の住民に対し具体的な危険があるとして訴訟の原告になれるという判断も示されました。
この判決に対するマスコミの論評は「再稼働に前のめりな安倍政権の方針への重い警告(毎日)」というものから「あまりにも非現実的な判断ではないか(産経)」というものまで様々ありましたが、福井県の原発に隣接しているいわゆる「被害地元」の滋賀県の安心安全にとっては画期的な判決だと思います。
安倍政権はこの判決についていずれ上級審で退けられるだろうとたかをくくっているかもしれませんが、今後3・11の教訓をないがしろにするような原発推進政策を進めれば福島県の住民のみならず、国民全体から大きな反発を受けることは必至です。たしかに「電気代の高い低い」は、多くの企業にとっては死活問題であるのかもしれませんが、ひとたび福島のような事故が起こればまさに生存権自体が脅かされることになります。
先の号で4月に閣議決定されたエネルギー基本計画について私の意見を述べさせていただきましたが、5月25付の朝日新聞によると政府が計画策定の際に行った「パブリックコメント」で脱原発を求める意見が9割を超えていたにもかかわらず、これらの意見をほとんど反映しないまま、原発を重要なベースロード電源と位置付けたと報じられていました。これはまさに安倍政権や経済産業省が進める経済優先の原発政策の本質であり、有事の際に大きな被害を受ける可能性のある被害地元の滋賀県としては県民の安心安全を求め、母なる琵琶湖を守るために大きな声をあげていかねばならないと思います。今回の福井地裁の判決はこうした滋賀県の思いをしっかり後押ししてくれる歴史的な判決だったと評価しています。
かつて、私が県議会本会議において有事に備えて滋賀県でも安定ヨウ素剤を備蓄すべきであると提言した際には国の指針に基づくと10キロ圏(EPZ)を超えて被害が及ぶ可能性はなく、備蓄の必要はないという趣旨の答弁でしたが、福島の事故を契機に影響が及ぶ範囲は30キロ圏(UPZ)など大きく変わり、今回の判決ではさらに250キロ圏内の住民に対して人格権侵害の可能性があるとされました。
福井県の皆さんがこれまで電力の安定供給のためご苦労されて来られたことに敬意を表しつつも、こうした状況を考えれば滋賀県も再稼働に対しては被害地元として立地自治体並みの同意条件を求めることは県民のみなさんの安心安全のために必要であると確信します。






