三日月氏知事選勝利を追う(2)
パワハラ発言や記者への暴言
来年の統一地方選に影落とす
◇全県
●弱かった選挙ビラ
ある自民党衆院議員は「今回の選挙は、普通なら自民、公明が推薦した小鑓(こやり)隆史氏が楽に勝ってましたよ。先月二十六日の告示日まで、自民党などが行った世論調査では十ポイントもリードしていた。それが元民主党衆院議員の三日月大造氏に負けたのは、集団的自衛権の閣議決定というより、明らかに選対本部の戦略ミスですよ。一例を挙げるなら告示後の勝負は選挙ビラなりの選挙ツールだが、これが駄目で戦いにならなかった」と敗因を語る。
自民党県議の一人は「いま県連を仕切っているのは、国会議員が若いこともあって、小鑓陣営の選対本部長でもあった吉田清一県議、三回連続で幹事長を続けた家森茂樹県議、両県議のふんけいの友である清水克実県連事務局長(元県議)の三人。今回の知事選では、候補者選びから選挙戦まで、事実上、彼らが仕切った。徹底した情報管理と権力集中を図ったが、それがこのざまです。春先に『小鑓氏が勝てば、副知事には家森県議か』との憶測が流れたが、『一生懸命に小鑓氏を当選させても結局、吉田、家森両氏の手柄か』とぶ然とする県議もいた。しかし自民党県議団の中では、怖くて両氏の責任追及などできない」と言う。
●記者にも暴言
昨年十二月の自民党県議団の記者会見が開かれ、吉田県議(会派代表)は、本紙記者が「分裂した自民系会派の颯新の会(当時三人)に自民党県議団(二十一人)から二人ほど移る動きもあるように聞くが」と質問すると、「誰がそんなこと言っとるんや。ええ加減なこと言いやがって。この会見室から出ていけ!」と激高した。
「あなたは何を言ってるんですか。後でその言葉についてきっちりと説明してもらいますからね」本紙記者は席を立った。結局、四月の議長選のごたごたで、自民党県議団から二人が颯新の会に入り、記者の質問が正しかったことになる。
今年一月三日、元県議会議長の三浦治雄県議(当時)が酒気帯び容疑で県警に逮捕された。
同六日に三浦県議は辞職するが、これを受けて自民党県議団は午後から記者会見を開くことになったが、昼過ぎの県庁食堂で吉田県議は本紙記者に対し「三浦県議の件で変な質問をすると承知せんからな」とかみついてきた。
「何を質問しようとこちらの自由です」と本紙記者が答えると、いきなり「うるさい! 貴様あっちへ行け!」と黒い顔を紅潮させて怒鳴り出した。これには記者も呆れはてた。
これは氷山の一角に過ぎない。知事選最中の七月初旬の小鑓氏のミニ集会の場で、吉田県議から、「何べん言うてもお前はレベルが低い。お前がいたら勝てる選挙も勝てない」と怒鳴られた女性市議は、フェイスブックにパワハラを受けた無念の思いを書きこんだ。
●土下座発言
さらに強権体質を裏付ける一つに、四月二十五日に開催された県議会の議長選挙で、最大会派の自民党県議団が推した県議が、民主党県民ネットワークなど複数の他会派から支持を得た自民党県議団に所属の赤堀義次県議に敗れた波乱があった。
赤堀議長は就任会見で「自民党県議団を一部の県議が牛耳っていて、何も言えない雰囲気がある。また実力県議(家森県議)らが昨年の県議会の役員選考でも山田和広副議長に『議長になりたければ土下座しろ!』と迫り、山田氏がこれに抵抗して副議長を留任することになる。このようなことが他会派からも批判が出て私を推してもらった」と述べた。
前述の自民県議は「石破茂幹事長が連日湖国入りし、延べ二百人の自民党国会議員が押し寄せても、肝心の県連幹部のおごり高ぶりにより不協和音があるようでは、勝てる選挙も勝てない。知事選の敗北責任は、上野賢一郎県連会長もさることながら、むしろ吉田県議、家森県議、参謀格の清水局長の三氏も大きい。知事選の総括ができなければ、来年の統一地方選も惨敗でしょうね」と目を伏せた。
なお、関西広域連合の議長に就任したばかりの吉田県議の知事選における実力ぶりだが、選挙区の野洲市では、三日月氏一万一千七百四十票、小鑓氏八千六百九十一票と約三千票の大差で自民、公明推薦の小鑓氏が敗れている。
(石川政実)







