三日月氏 知事選勝利を追う(8)
●やぶへびの党紀委員会
先月二十六日に開催された自民党県連の役員会では、一般常識とはかけ離れた知事選総括がなされようとしていた。同党県連の中主支部(野洲市)~野洲連協の協議を経て、第3選挙区支部の武村展英衆院議員は役員会で吉田清一県議からパワハラを受けたとされる女性市議を県連の党紀委員会にかけて処分するよう求めたのだ。
佐野高典同党県連幹事長によれば、第3選挙区支部はこの理由として(1)女性市議がパワハラを受けたことをフェイスブックに書き込み、それが知事選に大きく影響した(2)写真週刊誌フライデーの取材に応じて自民の批判をしたことの二点を挙げていたという。
堀・豊郷町議長「吉田県議と武村支部長が謝罪すべき」
「党紀委員会はやむなし」というムードが役員会に漂ったが、堀常一・豊郷町議会議長が「女性市議を党紀委員会にかけるというが、それでは順番があべこべではないか。パワハラ発言をしたとされる吉田県議や3区支部長の武村衆院議員が、まず女性市議に謝罪すべき」と否定的な発言をした。
有村治子参院議員も「フェイスブックはいまやパーソナルメディアになっている中で、『書き込みはけしからん』と処分すれば、言論封殺としてマスコミがこぞって取り上げる」と難色を示した。
二人の意見を重くみた佐野県連幹事長は「私と3区支部長の武村氏と党紀委員長の河本英典氏の三人で、まず党紀委員会にかけるべきかどうかを検討したい」と慎重な対応に切り替えた。
「人前で恥をかかせて議員は育てる」らしい…
「お前がいたら勝てる選挙も勝てへん」らしい…
「なんべん言うてもお前はレベルが低いなぁ」…
それも市民の前で…
“お前”とは私だ。もっともっといっぱい言われた。これまでも何回もあったけれど…
虫けらのように、上から目線で人権を否定された。
パワハラだと分かっていない、これがトップの言葉だ…
役たたづ(原文のまま)の私は迷惑を掛けないように前線から身を引くことにした…
体も心も疲れた…
猫を抱きしめて毛布にくるまって真っ暗な世界にいたい…
これは、本紙が入手した女性市議のフェイスブックの再現コピーである。武村3区支部長らが「知事選に影響するので、書き込みを削除してほしい」と女性市議に懇願し、同市議もこれに応じて削除したという。しかし消去されたのを惜しんで第三者が同じ内容を新たに再現したとみられており、本紙資料はそのコピーである。
●ウオークと集会
そもそも事の発端は七月二日に野洲市で開かれた地元老人クラブの健康ウオーキングだった。野洲川堤防散策と地元の水産加工販売会社で川魚などの買い物をする内容で、七十二人が参加した。 このウオーキングに割り込んで、同会社周辺において、知事選に出馬した小鑓(こやり)隆史候補の義姉が挨拶するミニ集会が開かれることになった。
この折、吉田県議は会場の段取りが悪いと女性市議を激しく叱責(しっせき)したとされる。この現場に居合わせた女性は「これは紛れもなくパワハラ。こんなことに負けたらあかんよ」と女性市議に同情したという。
ウオーキングの中心メンバーは「あれは、あまりにもひどすぎるやないか」と携帯電話で吉田県議に抗議したところ、『議員というのは人前で恥をかかせて育てるもんや』と答えが返ってきて、唖然(あぜん)とした」と話す。
県連の役員会に出席した県議は「女性議員を党紀委員会にかけることを第3選挙区支部が役員会で要請したことにより、この問題は県連問題になってしまった。そうなると吉田県議がパワハラ発言をしたのかを党紀委員会で審査し、処分しなければならなくなる。やぶへびだよ」と渋い表情だった。
今月一日に自民党県議団控室において吉田県議に取材を申し込んだが、「その件については答えるつもりはない」と取材を拒否した。 パワハラ騒動の当事者として説明責任があると考えるが、いかがなものか。
(石川政実)
一口メモ
党紀委員会=自民党員による違反行為を審査し、処分を決定する機関。処分内容は、『倫理規定の遵守の勧告』、『戒告』、『党の役職停止』、『役職の辞任勧告』、『党員資格の停止』、『離党勧告』、『除名』などで、除名が一番厳しい処分だが、県連では離党勧告や除名がほとんどだ。








