「安全協定」再稼働の事前協議なし 避難民による交通渋滞のおそれ
◇全県
今夏の知事選で「卒原発」を訴えて当選し、動向が注視されている三日月大造知事が二十三日、県の原子力防災の取り組みに生かそうと、就任後初めて原子力発電所の安全対策を視察した。そこで、県の原発防災の現状と課題を整理した。(高山周治)
三日月知事が訪れたのは、関西電力の高浜原発(福井県高浜町)。来年の再稼働に向けて、原子力規制委員会の審査が最終局面に入っており、九州電力・川内原発(鹿児島県)に次いで二番目となる見込みだ。
県と関電で、住民の安全を確保する安全協定については締結されていない。「避難準備が必要な半径三十キロ圏に含まれる範囲が少ない」と、関電が慎重だったためだ。
これを受けて三日月知事は同社へのあいさつで、「三十キロ圏に滋賀県があるので、安全協定と広域的観点にたった多重防護の仕組みを引き続きしっかり求める」と述べた。
県は今後、高浜原発の安全協定について「原発から五キロの京都府の協定締結への動向を見ながら、協議に入りたい」とし、すでに昨年四月に締結した五つの原発施設の安全協定についても、事故停止した原発再稼働の事前協議など「立地県」並みの権限を引き続き要求する。
また、事故発生を想定した避難計画でも課題は多い。今年三月に策定された県計画によると、福井県の原発群から三十キロ内の高島、長浜両市の約六万人が主にバスを使って大阪方面へ、さらに福井県の住民が県内を通過して奈良県へ避難するが、避難者が大量移動することで生じる交通渋滞や、非常時のバス運行をバス会社へ要請する強い権限の不備などが指摘されており、近隣府県との連携や国の法整備が必要だ。
しかし、国は原発施設の安全性を重視する傾向で、計画の実効性を高める前に原発の再稼働を見切り発車しようとしている。
このような現状に三日月知事は「オンサイト(原子力発電所敷地内)のみならず、オフサイト(敷地外)の防災対策も車の両輪として形づくることが重要」と、強く訴えた。








