衆議院議員 武藤 貴也
邦人がISIL(「イスラム国」と称するテロ集団)に殺害された事件について、故人にご冥福を祈るとともにご家族に心からのお悔やみを申し上げる。強い憤りを覚えるとともに、テロ集団と戦う意思を国家として強く持たなければならないと実感している。一連の事件の中「自己責任論」が叫ばれた。あくまでも悪いのはテロリストだが、外務省の渡航退避勧告を無視したのであるから、責任は本人にもある。しかし、だからと言って彼らを救わなくて良いことにはならない。国家第一の責務は何があっても国民の生命財産を守ることにあるからだ。
今回の様に身代金や政治犯釈放を要求してきた場合、応えるべきかどうかの答えは「否」である。政府は要求に応えず人質救出に全力を挙げなければならない。応えれば、かえってテロを助長し他の邦人も危険にさらすことになりかねないからだ。77年ダッカハイジャック事件の際、当時の福田総理が日本赤軍6人を釈放し、16億円のテロ資金を提供した。その対応は国際的非難を浴びただけでなく、事実同年に横田めぐみさんが拉致され、それ以降数百人とも言われる日本人拉致事件を引き起こした。日本は人質をとって脅せば要求に応えると思われたからかもしれない。そういう意味において、今回の安倍総理の対応は正しかったし、評価されるべきだと私は思う。
大切なのは、今後どのようにテロに向かっていくかということである。安倍総理はエジプトで「イスラム国」と戦う周辺各国に総額2億ドル程度の非軍事的分野に限定した人道支援を宣言した。一方で、イスラエル地元紙に「真の友からの提案」と題し寄稿し、イスラエルが推進するユダヤ人入植(住宅)地の建設について「国際社会が国際法違反とみなす」ものとして、改めて見直しを求めた。つまり日本の中東外交は極めて中立的な立場をとっていると言える。
野党やマスコミが、総理がイスラエルに訪問したからテロが起きたとか、人質救出に自衛隊を投入するとテロと真っ向から対立することになるとか、あるいは報復を主張すると憎しみの連鎖が始まるので、事実上何もしないのが一番だとする意見が散見される。しかし私は、そのような意見こそテロを助長する危険性があると思う。国民を一人でも殺害したら、犯人をどこまでも追い捕えて罪を償わせるという国家の強い意志が明示されることが必要だ。そのことが日本人に対するテロを未然に抑止すると思う。政府は国際社会と連携し、自衛隊を派遣しテロ犯を捕える行動を、法整備も含め具体的に検討すべきと考える。野放しのテロ犯は今後も日本人の殺害を繰り返すことになりかねない。国家としてそれだけは許してはならない。






