「森林税の見直し論議を」
◇全県
琵琶湖や河川の水質保全に重要な役割を担っている森林の適正な土地利用を図ろうと、県は「琵琶湖森林づくり条例の一部改正する条例」案と、この条例の水源涵養(かんよう)の部分を取り出して新たに制定しようとする「水源森林地域保全条例」案を二月県会に提出し、閉会日の十六日には議決される見通しだ。これに対し山仲善彰・野洲市長は、県から各市町への意見照会に答えて「森林づくり条例を改正するなら、この条例を根拠にして、県民から県民税均等割の上乗せとして毎年八百円を滋賀県独自で徴収しているが、東日本大震災の復興特別税で県民負担が増していることから、税額について見直したらどうか」という意見書を県に提出し、波紋を投げかけている。【石川政実】
県土の二分の一を占める滋賀の森林(約二十万ヘクタール)の多面的機能を守ろうと、県では平成十六年度に、「森づくり条例」を制定した。翌十七年度に条例を受けて、その財源確保のために「琵琶湖森林づくり県民税条例」を定め、十八年から県民から県民税均等割の通常の額に県民には八百円、法人には一一%を上乗せして徴収する制度を設けた。本来目的税とすべきものを県民税均等割の上乗せという制度にしたもので、税収は年額六億円を超える。
ちなみに同様の制度を設けているのは、滋賀県を含めて全国で三十五県にのぼる。
山仲市長は「税収が年額六億円を超えているのに、税の使途は、実質的に『環境保全』と『普及啓発』に限定し、森林の多面的機能の発揮に重要な林業及び山村振興には十分充てられておらず、効果には制定当時から議論があった。また今年度から全国一律に東日本大震災の復興事業に充当するとして、住民税の均等割部分に千円(県民税五百円、市町民税五百円)が増額され、県民負担が増している。条例を大きく見直し、森林の取引規制に関する新たな関連条例まで制定するという大改正を行うのであれば、この際、森林税も再考すべき」と指摘した。
同様の意見は、野洲市以外に甲賀市、高島市からも県に寄せられている。
例えばA市に住むBさんの住民税均等割は、県民税が通常の税額千円に加え、県独自の森林づくり税八百円、市町民税が通常の三千円がかかっていたところに、復興特別税として今年度から新たに千円(県民税五百円、市町民税五百円)が増税され、計五千八百円になっている。
今年度から平成三十五年度まで毎年、復興税が加算されるだけに、山仲市長は県民負担の軽減のため県独自の森林税の見直しを求めたもの。
これに対し県森林政策課では「森林税については、五年をめどに検討を加えることになっており、四月から始まる来年度はこの検討を行う時期になっており、その中で議論をしたい」としている。
東近江地域のある市の担当者は「国が定めた復興税は、県や市町に対して、それぞれ自分のところの防災事業などに使うために徴収しろというものだった。しかし国はこの分を県と市町に対する財政支援(交付税など)を削ることで、国の復興財源を生み出した。昨年四月に消費税が五%から『八%』に引き上げられたが、このどさくさにまぎれて復興税が徴収されたわけで、県民にとってはダブルパンチだった。復興税は平成三十五年まで続くだけに、県の森林税を今後も続けるべきか、もし続けるならもっと実効性のあるものにしないと市民から不満の声が出てくる」と話す。
なお、新たな条例の「水源森林地域保全条例」案は、土地取引の実態を事前に把握することで、無秩序な開発を防ぐため、森林売買など土地の所有権の移転について契約の三十日前までに知事に届け出ることを義務づけ、届け出なかったり、虚偽の届け出をしたりした違反者から過料を取るもの(図参照)。これは一部改正の「森林づくり条例」案の十条三項を取り出し、手続条例として新たに条例化しようとするものだ。







