小平井県営住宅 県の駐車妨害に怯える住民も
◇全県
「毎日、執拗に繰り返す県住宅課の駐車妨害に恐怖を感じます」と栗東市の小平井県営住宅に住む主婦(67)は顔を強張らせる。昨年四月から県営住宅の駐車場有料化に踏み切った県だが、強引ともとれる進め方に不信感を抱いた同県営住宅(駐車場利用=四十七戸)の十九戸の住民は昨年五月から駐車料金の支払いを拒否。このため県はU字溝のコンクリートブロックを置き、住民との小競り合いが起こっている。 【石川政実】
この五月の連休明けから、県は県営住宅の駐車場使用料を払わない住民の駐車区画にプラスチック製コーン、続いて杭打ちをするが、いずれも住民が撤去した。
そこで県は六月一日からU字溝のコンクリートブロックを置く実力行使に出たが、それを住民らが汗だくで除く“いたちごっこ”が続いている。
駐車場の有料化に当たり、県が目を付けたのが自治会の活用だった。
図のように自治会を母体に駐車場利用者で「駐車場管理委員会」を設置してもらい、会長は自治会長が兼務。管理委員会が利用者から駐車料金を徴収し、県に支払うという仕組みだ。
平成二十五年度から県担当者と県営住宅の当時の自治会長(前々会長)のU氏との協議が進み、同年十二月に開かれた全戸対象の連絡会議では、U氏が県の駐車場有料化を受け入れるため、管理委員会を設立する方針を示した。
二十六年(昨年)三月三十日、自治会の年度末総会が開かれ、U会長から管理委員会の規約案が配られた。規約案には「同月三十日から管理委員会が施行(設立)」と記載されていた。
住民の一人、青木勝義氏は「管理委員会の設立について住民同意もなく、規約案もいま初めて知った」と異議を唱えたが、総会は終了した。
なお四月一日から自治会長と駐車場管理委員会長にM氏が就任することが承認された。
M自治会長(前会長)の指示で、四月分の駐車場料金(月額四千円)徴収が始まった。青木氏らは同年五月、県に、これまでの経緯の説明を求めたところ、M氏がまだ自治会長や駐車場管理員会長でもない自治会総会前の三月二十五日、住民に知らせず県に対し駐車場使用許可申請をしていたことが発覚したという。
この問題などにより同年六月の自治会臨時総会でM氏はリコールされ、青木氏が自治会長と管理委員会長に選ばれた。
青木自治会長らは同年八月、「管理委員会設立についての住民同意や自治会の決議もなかった。さらに当時は住民を代表する権限のないM氏が、まだ管理委員会が設立されていないのに設立したとして県当局に使用許可書を提出し、県は書類に不備があると知りながら受理・承認した」として、県に重大な瑕疵(かし)のある使用許可の取り消しと有料化撤回を求める不服申し立てを行った。
県は同月、「管理委員会は、自治会とは異なる任意団体であり、自治会決議は必要なく設立は有効」と回答。
駐車場使用許可申請について前自治会長のM氏は本紙取材に対し「U氏の指示で駐車場許可申請書に捺印した」と答えた。
前々自治会長のU氏も本紙取材に「M氏は四月一日から自治会長と管理委員会長になるので、県担当者にも相談して実態に合うよう同氏に許可申請をしてもらった」と振り返った。当時、同県営住宅の担当者であった林口冨雄・県建築指導室長も「県もその認識だった」と認めた。
県の回答に反発した青木自治会長は同年五月分から、駐車料金の県への支払いをストップした。これに対し今年一月、県は青木氏を管理委員会の代表者として認めないと一方的に通知。二月の管理委員会臨時総会でN氏が新会長になった。
県住宅課の崎山薫課長は本紙に「確かに昨年三月二十五日の使用許可申請書は適正を欠く面もあった。しかし、それによって許可申請が無効で、有料化を撤回することにはならない。未納の住民の中には、第二管理委員会を認めてくれれば納めてもいいとの声もあり、検討したい」と話す。
県財政課では「低所得者もおられる県営住宅で、一律に月額四千円の駐車料金を課すのがいいのか。所得に応じた駐車場料金の設定を考えるべきでは」との声も出ている。
一口メモ
県営住宅の駐車場有料化は二十三年度外部監査の指摘で、県住宅課の尻に火が付いた。
県内に四十三団地あるが、当面、県では一戸に駐車場一区画確保を原則に有料化を進めており、対象となるのは二十四団地。このうち県が有料化を実施しているのは栗東市の小平井県営住宅を含めて十四団地に過ぎない。






