「国会議員枠でない」と釈明
出資金集金の関与全面否定
未公開株をめぐる金銭トラブルを「週刊文春」に報じられ、自民党(麻生派)を離党した武藤貴也衆院議員(36)=滋賀4区=は先月二十六日、疑惑について初めて東京都内の衆院議員会館で記者会見を開いた。さらに同氏は同二十八日夜、選挙区内の近江八幡市で地元支援者への説明会を開いた。出席者によると、議員辞職を否定したうえで、潔白が証明されれば自民党へ戻りたい旨の話をしたという。改めて武藤氏の東京での会見から未公開株問題を検証してみた。【石川政実】
1億円戻らず
武藤氏によると今回の問題の発端は、学生時代からの友人A氏から、有名ブランド品の売買のビジネスをするため資金を工面してほしいと頼まれ、平成二十四年十二月から二十六年十月まで計一億円の資金を渡したことだった。さらに政策秘書も個人的にビジネス資金として四千万円をA氏に渡していたと言う。
武藤氏は一億円について「私個人の資金が四千万円、友人から三千万円、親から三千万円」と述べた。国会議員は、資産公開法で貸し付けも資産等報告書への記載が義務付けられているが、その記載はない。
これについて武藤氏は「あくまでA氏から預かり証をとった『預かり金』であり、貸付金という理解ではなかった」と弁明した。
県選出の別の国会議員は武藤氏の四千万円について「衆院議員の手取りが年間一千七百万円程度あり、必死で節約をすれば四千万円近くを蓄えるのは可能かもしれない。ただ武藤氏は、当選早々に高級車を買って運転手も付けるなど派手な面もあったし…」と首をひねる。
武藤氏によれば「その後、友人Aは事業に失敗して『金は返せなくなった』と言ってきた」と述べた。困り果てた武藤氏に持ち込まれたのが未公開株購入の話だった。
新規公開株問題
「週刊文春」は昨年十月末に、武藤氏がA氏に「値上がり確実な新規公開株が国会議員枠で買える」と持ちかけ、二十三人から約四千万を集金したと報じた。
その一つが「LINE」(ライン)のやり取り。武藤氏はA氏に注意を促すため『この案件はクローズ』『国会議員のために枠を押さえているのが知れたら大変』とラインで送った。
これについて武藤氏は会見で「国会議員枠があるという認識はなかった」とし、ラインのやり取りは事実だと認めた上で、ラインは「国会議員のために枠を押さえられていると誤解されたら大変という意味だった。言葉が乱雑で誤解を招く表現になった」と釈明した。
新規公開株購入の枠について武藤氏は「昨年十月末、政策秘書から彼の知人のB氏が『得意顧客のための新規公開株購入の特別な枠を(B氏が)押さえている』と言っているのを聞き、『この株を購入して(儲けて)私が預けた金の返済に回してはどうか』とA氏に提案した」と語った。
武藤氏の政策秘書の口座に株購入の資金が入金されたことについては、「A氏の口座が裁判所に仮差し押さえされているため、(A氏の求めで)政策秘書の口座を利用するようにしたと聞いている」と述べた。
さらに週刊誌の記事について「私がA氏に指示して集金したように書かれているが、事実はA氏自身の判断で株購入の資金を準備(集めた)したもの」と株購入の関与を全面的に否定した。
株購入できない謎
新規公開株購入のため二十三人から計四千万円が政策秘書の口座に振り込まれたが、株は購入されなかったことについては「昨年十一月、政策秘書を通じてB氏から『株は購入できなかった』と報告を受けた。そこで入金された資金を返すように指示した」と述べた。
出資金の一部を政策秘書が別の返済に回し、投資家六人に約七百万円が返済されていないと週刊文春に報じられたことについては、「現在、出資金はすべて返金された」と述べたが、政策秘書が他に流用したとの報道については言及しなかった。
議員辞職については「法律専門家などに聞くと法的な問題はないということなので、考えていない」とした。
中堅の自民党県議は「新規公開株購入の話を武藤氏がA氏に持ちかけたことや、『国会議員枠』についてのラインのやり取り、秘書の口座で金が集められたことなど、武藤氏が資金集めにまったく関与しなかったとはいえない」と受け止めていた。





