自治刻刻 鈴橋再生に学ぶ
先日、東近江市鈴町の日野川に架かる橋の開通式に出席しました。この橋は、昭和4年に架けられ、90年近く経過した相当古い橋であり、老朽化と被災のため、平成24年から通行止めの措置がなされ、解体されることになっていました。
私は、市長就任前からこのことを知っていたのですが、住民の方からは、鈴橋は集落から神社や農作業に行くとき、また、通学のためになくてはならない橋であるのに、200メートルぐらい離れたところにバイパスが整備されたため、ルール上廃止しなければならないことになっていたのです。
就任後、私は鈴橋の再生ができないものかと職員や県東近江土木事務所などの知恵を借り、再生に向けて動き出しました。行政の効率化の視点からは、確かに近くに新橋ができたため廃止するという方向は間違いではありません。しかし、住民の視点に立ったとき、法律や規則で決まっていたとしても、神社や農作業に向かう住民の方々の日常生活に一体化して長きにわたり存続してきた橋をなくしてしまうことは、文化の継承の否定になりかねず、また、新橋は交通量が多く農作業に向かう車両や通学の生徒たちにとっては危険が伴うことも懸念されました。
そもそも法律や規則は、役所が行政目的を効率的に達成するためだけにあるものではなく、市民の権利や利便性を確保するためのものでもあるべきものなのです。
私は、鈴橋を解体するために要する費用でどの程度の修復ができるのか積算し、同程度であれば必ず再生しようと決しました。地域の方々の熱い要望や多くの署名も後押しとなり、また、翌年の出水期の大水で橋脚の一部が沈下したため、災害復旧の補助対象となり、市の財源からの支出はわずかで済むこととなりました。
開通式では、住民の方々の心からの感謝の気持ちが伝わり、私自身わがことのようにうれしくなりました。市長就任前後に抱いた感性から生じた思いが実現できたのですが、今後とも為政者として、この視点を大切にしていかなければならないと思います。






