県政NOW 「人への投資」を進めよう。
7月10日に投開票が予定されている参議院選挙でほとんどの党が奨学金制度の拡充を公約として打ち出しています。その内容は返済が不要な給付型の奨学金制度の創設や貸与型奨学金の無利子化などであり、選挙の結果にかかわらず当然実施される制度として、学生の期待も大きくなっていると思います。いいかえればこうした制度がもし掛け声だけで終わってしまえば若者の政治への信頼はいっきに失われることでしょう。
このように各党が競って奨学金制度の拡充を訴えている背景には若い世代の貧困が拡大し、卒業後の奨学金の返済に苦しむ若者の姿がテレビでクローズアップされるなどの厳しい現実があります。前の号でご紹介した『下流老人 一億総老後崩壊の衝撃』の著者であるNPO法人ほっとプラス代表理事の藤田孝典氏がこうした今の若者たちを取り巻く環境と課題について『貧困世代 社会の監獄に閉じ込められた若者たち』の著書の中で述べられています。
下流老人や貧困世代が作られてきた背景の一番大きなものは拡大する「雇用の不安定化」だと思います。藤田氏の著書にあるように高度成長期の日本は雇用が潤沢であり、ある一定の生き方や役割が用意され、若者たちがごく普通に働けば、ごく普通の暮らしが享受できた。まさに、「一億総中流社会」でした。しかし、現在はどうでしょう。非正規労働者が全体の4割を占め、長時間労働を強いるブラック企業が横行し、若者が使い捨て労働力として過酷な労働環境で心身を壊しています。また、労働者を保護するための労働法制が派遣法の改悪にみられるように経営者にとって都合のよい制度へ変えられようとしています。今まさに政治の役割が大きく問われています。
先の沖縄知事選において俳優の菅原文太さんが応援演説で話された次の言葉が今も心に深く残っています。「政治の役割は二つあります。ひとつは国民を飢えさせないこと、安全な食べ物を食べさせること。もう一つは、これが最も大事です。絶対に戦争をしないこと。」
冒頭に述べた奨学金の改善をはじめ、安定した雇用対策、社会保障制度の拡充などの「人への投資」により格差を解消し、貧困をなくしていくのが国や地方を問わず政治の大きな使命です。すべての人に居場所と出番のある共生社会をめざして、これからも邁進していきます。






