国政刻刻 日米首脳会談と新たな経済対話について
日米首脳会談では、安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用されることが、史上初めて共同声明で明示的に確認されました。また、アジア太平洋地域における高い基準の貿易ルール構築に向けた努力の重要性を確認しつつ、自動車などの個別分野には触れないなど、安全保障と経済両面、そして個人的関係の全ての面において、考え得るベストの首脳会談であったと思います。
幸いにして私は、首脳会談の直後に米国連邦議員や有識者等と日米関係について意見交換を行う機会を得ました。現地では、もちろん新政権に対する批判的意見もありますが、日本で報道されている以上に、選挙戦で約束したことを次々と実行に移しているトランプ大統領に対する期待感が大きいと感じました。その点で言えば、日米をはじめとする貿易関係の成果に対する期待感も強く、その期待感が自動車や農産物など個別分野の二国間交渉に向かえば、国力が圧倒的に強い米国との二国間交渉は不利になることは明らかです。今回、日米の経済関係を一層進化させる方策について、幅広く麻生副総理とペンス副大統領との間で分野横断的な対話スキームを進めていくことにしたのは日米経済交渉の入り口としては戦略的勝利とも言えます。
米国を含むTPPは、コメなど我が国の聖域分野を守りつつ成長市場に共通ルールを構築していくという点で近年稀にみる効果的な自由貿易協定であったと評価でき、従って昨年の国会でも批准手続きを完了しました。米国が同協定から離脱したことは残念ですが、共同声明において、自由で公正な貿易のルールに基づいてアジア太平洋地域における経済関係を強化することに両国がコミットしたことは大きいです。人口と所得水準が向上している当該市場は、少子高齢化が進展する我が国にとって生命線であり、日米双方が協力して参入し、その果実を分かち合っていくことの重要性を理解することが米国自身も改めてTPPの重要性を認識することにもつながると思います。4月から始まる予定の日米経済対話では、米国との直接的な経済協力のみならず、特にアジア太平洋地域全体の貿易や投資を拡大するための方策を中心に検討していくべきでしょう。






