国政刻刻 真に顧客本位のサービスが提供される金融機関に
私が大臣政務官を務めている金融庁では、金融機関が「顧客本位の業務運営」を行い、顧客に良質な商品・サービスを提供することを促していくことを行政方針に掲げています。
企業が顧客のニーズに応える良質な商品・サービスを提供し続けることが、顧客との信頼関係を確固たるものとし結果としてその企業の価値が向上する、という原理は企業の経営者にとって至極当然のことと受け止められるでしょう。
しかし、こんな当たり前のことを敢えて金融庁が行政方針として掲げているのは、金融機関が提供する金融商品やサービスが必ずしも顧客本位でないというわが国の実態があるからに他なりません。特に資産運用については、顧客の利益を顧みない金融機関の論理が横行している傾向が顕著に見られるのです。
前回の寄稿で、個人の資産形成を支援するための税制上の優遇措置である「積立型NISA」の創設について触れました。1800兆円といわれる日本の個人資産はその過半が現預金で保有され極めて非効率な運用がなされている現状において、運用のプロではない一般の方々に適するリスクの小さい株式投資信託などを対象に、長期にわたってコツコツと安定的な資産形成をしていただくことを促すための制度です。
この度、「積立型NISA」の運用対象として個人資産の安定的な形成に適するものと選定されたものは、わが国の5406本の公募株式投信のうち僅か53本しかなかったという驚愕の実態が明らかになりました。全く同じ基準を、米国で残高が大きい株式投信の上位10本に当てはめた場合には8本が該当していることを考えると、わが国でいかに顧客本位の金融商品が売られていないかを如実に表しています。
資産運用の世界を代表する思想家であるバートン・マルキールとチャールズ・エリスはその著書の中で、個人が投資で成功する秘訣について「市場の値上がり・値下がりを気にかけず一定額をコツコツと長期にわたって投資すること」「市場全体に投資するコストの低いインデックスファンドを選ぶこと」を勧めています。
今後も金融庁として、一般の個人の方々には、金融機関に入る手数料が大きい商品だけでなく、安定的な運用に適する真に顧客本位の金融商品が提供されるような、顧客本位のサービスが提供される金融を目指して取り組んでまいります。






