自治刻刻 「国指定重要無形民俗文化財『ケンケト祭』に想う」
先日、新聞紙上に気になる話題を見つけました。東日本大震災の被災地では、祭などの伝統行事の二割が存続の危機にあるそうです。また、被災地以外でも、伝統行事の多くは後継者不足等の課題に悩まされていると聞きます。
そんな中、わが竜王の初夏を彩る風物詩「ケンケト祭」が国の重要無形民俗文化財に指定される朗報に接しました。
祭は例年、5月3日に行われます。春色薄い窓越しの風景からは実感がありませんが、もう一月余りです。冒頭の伝統行事の記事もあり、私はいつも以上に特別な思いで当日を待ちわびています。
ケンケト祭の名は諸説あるものの、少年たちが鉦(かね)を叩きながらの囃子(はやし)の音頭が由来とされます。また、衣装や持ち物に趣向を凝らし、笛、太鼓、鉦などで囃し立て賑やかに踊ることで、災厄を祓(はら)い安寧な暮らしを願うものといわれます。
指定に際しては、中世後期の祭礼芸能の姿を今に伝える貴重な民俗芸能であり、芸能の変遷の過程や地域的特色を示していることや地域の人々が世代を超えて参加すること、そして、地域の歴史と風土を反映していること等が認められました。
古来、祭はその地域に住む人々によって守られ引き継がれてきました。中世が起源とされるこの祭も、先人の弛(たゆ)まぬ努力により、時の流れの中で変化しつつも比較的原形を留め今日まで営まれてきました。そして、時空を超えて地域の精神的な核となり、祭を担う人、祭に集う人など、全ての人々の繋(つな)がりや絆を深める役割を果たしてきました。このことは、地域住民の団結力や結束力にも通じるもので、愛郷心を育んできたともいえます。改めて、関係者のご尽力に頭が下がります。
毎年、この祭を楽しみに準備に汗をかく人々がいます。それを支える人々もいます。そして、本番には県内外から多くの人々が見物に訪れます。祭礼当日、祭を中心にそれぞれの思いが重なり広がっていくのです。祭の魅力、醍醐味とは、見た目の華やかさだけでなく、関わる人々のほとばしる熱い思いを感じることかも知れません。
このケンケト祭ですが、鉦、太鼓、踊りからなる中世芸能「風流踊(ふりゅうおどり)」の一つとして、今年、ユネスコ無形文化遺産へ申請されます。世界に誇る竜王の文化が二年後には登録される予定です。
今はただ、新型コロナウイルス感染の拡大が終息し、ケンケト祭もオリンピック・パラリンピックも無事開催されることを祈るばかりです。






