国政刻刻 「つぎはぎの仕事着」と「美の滋賀」
愛荘町立歴史文化博物館で「つぎはぎの仕事着―暮らしが仕立てたデザイン」企画展を見せてもらった。一枚いちまいが愛おしく感動した。写真で示せないのが残念だ。昭和40年代にジャージの作業着がはいるまで、滋賀県各地では藍染の絣(かすり)の作業着があふれていた。
擦り切れたところには布をあてて二重にも三重にもつぎはぎが重なっていく。いわゆる「もったいない文化」だ。それが美しい。くりかえす作業から身を守り、布一切れを最後まで使いつくす精神。「豆一粒を包めるほどの大きさであればとっておく」と布を大切に伝えてきた。
担当学芸員の西連寺匠さんに、この企画展示に館内から反対はなかったか尋ねると、課長補佐の三井義勝さんはおもしろいからやろうとすぐに乗りましたと答えた。
ともすれば「貧しい」という視点から隠そうとしたつぎはぎの仕事着。よくぞ重厚な建物の歴史文化博物館で展示してくださいました。その学芸員のやわらかい発想に感謝。
滋賀県では2011年から「美の滋賀」という静かな住民運動が動いています。
自然や環境の美、湧き水をたたえるカバタや生活の美など、暮らしに根付いた日常の美がこの地には隠れています。
定型化された芸術から忘れられた美を発見し、滋賀県立美術館の発展的再生につなげられないかと考えてから10年近く。「美の滋賀」プロジェクトは、住民の皆さんと担当との協働作業で県内各地に根付いてきた。
中心的委員だった保坂健二朗さんは、今年6月に新生オープンする「滋賀県立美術館」の館長として就任しました。
きっと滋賀県中に、このような仕事着はたくさんあるにちがいない。でも建物や農具などと違い、簡単にほかされてしまうのではないか。今から仲間の学芸員によびかけて、地域から集めてもらえないだろうか。そして新しくオープンする美術館で、企画展示ができないだろうか。
皆さんのタンスにも眠っていませんか?展示会は3月21日迄です。






