郷土の歴史文化を深掘りする12編「蒲生野に舞い降りた聖徳太子」など
【東近江】 八日市郷土文化研究会(藤本長藏会長)はこのほど、会誌の最新号「蒲生野54号」を発行した。「蒲生野」は、東近江地域を中心とする会員による歴史文化の研究の成果や随筆などを掲載し、年1回のペースで発行している。
巻頭論文では、大沼芳幸氏(NPO法人歴史資源開発機構)が「蒲生野に舞い降りた聖徳太子」と題して、近江、とりわけ蒲生野を含む東近江エリアに濃厚に伝承される聖徳太子の文化について、思いを巡らせた。
今年は日本仏教の祖・聖徳太子が亡くなって没後1400年。
本稿では太子信仰のルーツを、奈良時代の鑑真教団や平安時代初期の僧で日本天台宗を開いた最澄とする。さらに鎌倉時代に入って太子ゆかりの社寺が増えた背景について、新仏教の活動が始まり、天台系寺院が経営戦略として太子縁起を語り始めた結果とした。
最澄の出生地である近江は、「天台王国と言っても良いほど天台系寺院が多く建立された、聖徳太子に親しい国。このことが、聖徳太子縁の寺院に天台宗が多い、という近江独自の文化的事象を生み出した」としている。
さらに大沼氏は、「近江にとっての聖徳太子とは」、「近江の人達は聖徳太子にどの様な想いを抱いていたのか」、「縁起・伝説の世界を活かす」へと筆を進める。
本書は、本町商店街のまちかど情報館(八日市本町)にて2千円で販売している。市内図書館でも閲覧できる。問い合わせは藤本会長(TEL090―6242―9053)へ。
なお、内容は次の通り。敬称略。
▽ 巻頭論文「蒲生野に舞い降りた聖徳太子 縁起・伝説の世界の過去・現在・未来」大沼芳幸、▽「蒲生氏郷と藤堂高虎」福永保、▽「蒲生郡中之郷村の市田小作の六十六部廻国について―『市田小作集印帳』から」大塚活美、▽「幕末期の東近江市と民衆」野村しず一、▽「『高野道』再考(続)」門脇正人、▽「郷土史研究の先駆者 堀川辰之助さん」中島伸男、▽「うるおいとにぎわい 政所茶と銘茶ますきち」堤康徳、▽「東近江郷土芸能 江州音頭を見直そう」丁野永正、▽「蒲生野・万葉ロマンの会の設立と展望」土井正義、▽「市辺地区まちづくり協議会 歴史文化部のこれまでの活動」苗村久男、▽「文化の拠点を目指して」西川清貴、▽「五年間の木地師研究『新しい指針・試み』」杉谷久美子。







