びわこ学院大・短大 発! 『胎盤』となる幼少期の遊び経験
約束の仕方が「今日も遊ぼう」から「今日は遊べる?」に変化してずいぶん経ちましたが、大人になった今でも幼い頃の遊びを思い出すことがあるかと思います。いつの時代の子どもにとっても遊びの中での体験は、その後の発達に大きく影響します。
想像力を触発し生活空間を広く豊かなものにする子どもの遊びは、からだを使った集団でのものが多いようです。遊びの中で経験するさまざまな動きや喜怒哀楽、「ドキドキ」・「ハラハラ」する情動的興奮は、こころとからだの成長を促します。子どもは遊びに夢中になることで得た自信や効力感を糧に、さらに面白い遊びを生み出し、夢中になり、またさらに…。からだを使った遊び(運動遊び)にともなうポジティブな情動体験は、良好なからだの状態と相まって他者とのつながりの芽を育て、こころの発達を促します。もちろん、遊びの中で経験される寂寥(せきりょう)感や孤独感、恐怖感といったネガティブともとれる情動体験も、その後の成長を支えるさまざまな経験の土台(胎盤:藤田*)を形成します。
私はこれまでスポーツ選手の原体験や原風景について幾つかの特徴を発表してきました。例えばスポーツ選手が語る子ども時代では、里山や原っぱなどの自然空間での遊びや虫や葉っぱといった自然物での遊び、そしてスポーツ活動(スイミングなどの習い事)が他と比べて圧倒的に多く報告されました。彼らにとっては当時の工夫や発見は鮮烈な体験(原体験・原風景)として、その後の成長過程の土台となり、スポーツ選手としての活躍とのつながりが窺えました。そこでは“何を体験するか”よりも“どのように体験するか”が大切なようです。
大学は“送る春”を過ぎ、桜の便りと共に“迎える春”となりました。本学での学びの経験が、卒業後の保育現場での経験の胎盤となるよう教員としての引き出しをさらに増やそうと思います。
*藤田省三(2003) 或る喪失の経験―隠れん坊の精神史―、精神史的考察、平凡社。
びわこ学院大学
東近江市布施町29






