自治刻刻 伝統行事が教えてくれるもの ~“こどもまんなかの竜王町”のまちづくり~
一面に広がる緑の絨毯を背景に、白煙をくゆらせながら薄暮の中をゆっくりと進む大小さまざまな人影。耳を凝らすと「おくろ、おくろ」の声と共に鉦や太鼓の音で囃す様子が…。先月わが町では、このような光景が見られました。農耕にまつわる伝統行事「虫送り」です。
この「虫送り」。本来は、リレーのバトンの如く、隣接する地区同士が川の上から下へと順々に松明の火を伝えながら、病害虫を炎や煙でいぶして追い払い豊作を祈ったとされますが、プロパンガス等の普及もあって材料の菜種確保が難しくなり、担い手の減少も相まって、その多くは途絶えていました。しかし、そんな中にあっても、一部の地区では絶やすことなく引き継がれています。また、地域の伝統行事を後世へ残そうと、子どもたちを中心とした祭りとして復活させた地区があるとも伺いました。
時の流れや人々の価値観の多様化に抗うことは難しく、途絶えることも仕方ないと思う一方で、連綿と引き継がれていたり、ふるさとの原風景を次代に伝えようと再興されたりする地域があることを嬉しく思います。そして、多くの場合、子どもたちも参加して行われているようです。
「虫送り」を始めとする故郷に伝わる行事や伝承を通して子どもたちは多くの大人たちと触れ合います。そこでは、先達ならではの知恵や知識を知り、これを試してみることで、新しい発見や眠っていた好奇心が呼び覚まされることもあるでしょう。これらの貴重な経験は、子どもたちがこれからの人生の中で遭遇するであろう艱難辛苦を前に、彼らにとって、時に、心の拠り所となり、また、前に進むエールとなって、その背中を押してくれると思います。
このように幼い時の経験は、四季折々に豊かな表情を見せるふるさと竜王の大自然と共に、掛け替えのない心象風景として、子どもたちの大切な宝物になる筈です。
「故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知る」。私は、今に残る伝統や文化の持つ魅力を大切にしつつ、「子どもたちの目線やその思い」に寄り添い、次代を担う全てのこどもが等しく健やかに成長し、幸福な生活を送ることができるよう令和の時代に相応しい「こどもまんなかのまちづくり」を進めて参ります。






