国政刻刻 「もっと早く言えよ」自民党総裁選
「野党は批判ばかりせずに対案を出せ」と言われ、実際に立派な対案を出すと、国会では審議すらされずに葬り去られることがよくあります。時に虚無感を覚えることもありますが、自民党総裁選挙の候補者の方々の政策発表を聞いて我が目と耳を疑いました。
例えば、政党から国会議員に支出され、使途公開の義務がない政策活動費の廃止です。先の通常国会で野党各党が主張したものの、自民党はかたくなに拒否した政治改革案ですが、茂木敏充幹事長や小泉進次郎氏が公約に打ち出しています。
また、マイナンバーカードと健康保険証を一体化した「マイナ保険証」への移行時期の見直しには、石破茂氏や林芳正官房長官が言及しています。さらに、小泉氏らは選択的夫婦別姓の導入の必要性も訴え、茂木氏は防衛増税と子育て支援金の追加負担の停止も唱えています。
政策活動費の廃止、マイナ保険証への移行時期の見直し、選択的夫婦別姓、防衛増税の停止などは野党各党が再三にわたり国会で求めてきた政策です。そして、その度に、政府側は「その必要はない」と答弁してきました。
自民党総裁選挙の候補は、閣僚や政権与党の重要な役職に就いていた人ばかりです。この人たちが、突然、野党が主張してきたこと、つまり、政府が「その必要はない」と答弁したことと正反対のことを言い出すのは理解に苦しみます。前々から本当にそう思っていたのなら、「もっと早く言えよ」と言いたくなります。
忘れてはならないことは、岸田首相は裏金問題をきっかけに高まった政治不信によって退陣を余儀なくされたことです。
今回の自民党総裁選挙はトップの交代で刷新感を演出するとの指摘があります。しかし、つい最近の言動と整合性がとれない主張がまかり通るようでは、信頼回復が遠のくばかりではないでしょうか。






