国政刻刻 年金改革法案について
年金制度改革法案が国会に提出されました。改正法案のポイントは、何といっても「106万円の壁」といわれる加入要件を撤廃してパート従業員が厚生年金に加入しやすくすることと、働く高齢者の年金カットを緩和することで働き控えを解消することにあります。そして将来の年金給付を充実させる観点から、高所得者に対して負担能力に応じた負担を求め、段階的に保険料の上限額を引き上げることにもあります。その他にも遺族年金の見直しや、私的年金制度であるiDeCo(イデコ)に加入できる年齢を引き上げることなども盛り込まれました。
しかしながら、今回の改定には盛り込まれなかったものも実はあります。それは厚生年金の積立金を活用して基礎年金を引き上げる措置です。日本の年金制度は全国民共通の基礎年金と会社員などが加入する厚生年金の2階建てになっています。少子高齢化が進んだわが国では年金を受け取る人が増える一方で保険料を納める人が減るため、基礎年金の給付水準は目減りすることが予測されています。その減少幅を小さくするためには何らかの底上げ策をとる必要があり、このまま何もしなければ将来の給付水準は今より3割も下がります。特に、2040年には年金受給者となる就職氷河期世代の人たちのなかには非正規雇用で働く人の割合が高いため、基礎年金受給額の低下は老後の不安に直結します。今回その穴埋めを厚生年金の積立金で補う改革案の提出は見送られました。
その他にも基礎年金保険料の納付期間を5年延長することや、会社員に扶養される配偶者が保険料を納めず年金を受け取る第3号被保険者制度など、年金制度には課題が山積しています。今国会は少数与党のため野党の協力なしに法案が成立することはありません。財源論を含めた議論がどのように展開されるのか、ご注目いただければと思います。






