東近江・建部北町に現存2基
【東近江】 愛知川中流域の東近江建部北町、河辺いきものの森に現存する伝統的な治水施設、猿尾を分かりやすく案内する公開講座が開催された。
猿尾は主堤防とは別に川岸から河川に向かって築いた小さな堤防で、洪水が発生した際、流れの勢いを弱めたり、跳ね返して主堤防を守った。
しかし、明治以降、西欧から近代的な堤防やダムによる防災技術が取り入れられたため、ほとんどが姿を消し、今では木曽三川の石積み水制などが残るのみ。
建部北町では、猿尾に関する地域の伝承があり、これに基づいて兵庫教育大学と県琵琶湖環境科学研究センター、県立琵琶湖博物館、立命館大学などの研究者でつくる研究グループが2023年から、ドローンを用いた高精度レーザー測量などを活用した調査を始めた。
この結果、地元で言い伝えられていた猿尾(長さ約294メートル)のほかに、猿尾と認定できる可能性のある凸状の高まり(同約42メートル)を再発見した。研究内容は、6月に国際学術誌で紹介された。
講座では調査概要を紹介したあと、現地に出向いて猿尾を見学しながら解説した。参加者からは「なぜ、古地図の規模と比べて小さくなっているのか」などと質問があり、研究者は「洪水により土砂が運ばれて埋まったり、崩れてしまったのでは」と解説していた。
なお、研究グループは、現地に行かなくても猿尾を学べるバーチャル博物館を制作している。グループリーダーの兵庫教育大学准教授の小倉拓郎さんは、「河川とつきあってきた人々の営みを再確認し、それを今後の防災・減災につなげるとともに、地域環境への理解を促したい」と、展望を語っていた。







