国政刻刻 人里にクマが出ない抜本対策を
全国的にクマの出没が相次ぐ中、今年度は過去最多の13人(7日現在)の方が亡くなる事態になっています。滋賀県内では長浜市で負傷者が出る事案が2件あったほか、これまでクマがいないとされてきた大津市南部でも目撃されています。被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。
人にとってもクマにとっても不幸な遭遇を避けるためにも、短期・長期の両面の対策が必要です。単に駆除してしまえば良いということではなく、人里にクマが出てきてしまう原因を改めなければならないのです。
短期的には人の住む集落とクマの住む奥山の住み分けが必要です。中山間地域で集落が小規模に散在していたり、集落の周りにクマのエサとなる柿や栗の木、人の出したゴミなどがあったりすると、クマが集落に現れやすくなってしまいます。
私の知事時代には獣害による農作物被害の訴えが非常に多く、集落周辺の柿や栗の伐採や藪の刈り取りを進め、金網や電気柵を設けて山林との境目をはっきりさせる対策を講じました。現場で対策を進められた市町や地域の皆さまの多大なご尽力のおかげで、獣害による農作物被害金額は、知事就任直後の2008年に4億3千万円を超えていましたが、年々被害が減り、現在は10分の1ほどの金額になっています。こうした対策はクマが近寄りにくい集落を作る上でも有効なのです。
長期的には温暖化対策は避けて通れません。特に東北の涼しい気候に合っていた木々が影響を受け、どんぐりなどの木の実が減ったことが、クマ出没の背景になっています。最近では大規模なメガソーラー開発もエサ不足の遠因です。広葉樹を植えて針広混交林化を進めることで、クマが山で十分なエサを確保できるようになります。
そのためにも大切なのが森林保全の広域連携です。森林整備の財源の一つとなるのが国から分配される森林環境譲与税ですが、これは人口割で各自治体に配分されています。だからこそ、人口の多い下流域の都市部の自治体が上流の自治体の森林保全にも貢献してもらえるようお願いしたいところです。獣害対策だけでなく、水源涵養(かんよう)や水害対策にもつながります。命と暮らしを守る抜本対策を皆でつくりあげていきましょう。






