全国の木地職人らが課題と展望語る
【東近江】 「伝統の継承と近代化」をテーマに、木地師について語るシンポジウム(東近江市、木地師のふるさと発信事業実行委員会主催)が8日、アピアホールで開かれた。
木地師とは、木をろくろで削り、器や盆、椀などの木製品を作る職人のことで、生業の起源は1200年ほど前にさかのぼるとされる。東近江市はその木地師文化発祥の地として知られ、現在も職人によって引き継がれている。
そんな木地師の視点から「伝統の継承と近代化」をテーマに掲げた今回のシンポジウム。万年筆を中心に文字文化と民俗との関わりなどを研究する国立歴史民俗博物館の小池淳一教授の基調講演「ろくろと万年筆―近代文字文化の基盤―」では、木地師の技術とともに日本で進化した万年筆の過程が語られ、講演後、全国各地で活躍する木地師や塗師ら職人が参加したパネルディスカッションでは、現代職人が抱える課題や現状などが伝えられた。
この日登壇したのは、露木清勝さん(神奈川県小田原市箱根寄木細工職人)、長谷川利之さん(福島県会津若松市木地職人)、渡邊嘉久さん(滋賀県長浜市漆職人)、川北浩嗣さん(石川県山中温泉木地職人)、下村祐介さん(広島県廿日市市木地職人)。
その中で、生活様式の変化や記念品市場の縮小で、伝統工芸産業がここ30年で約5分の1に縮小している現状が伝えられた。文化・技術を伝承するために課題として挙げられたのは、技術伝承の仕組み化、若手育成、設備の充実化、商品の製作体験、インバウンドによる販路の最適化など。
登壇者らは「新規参入者や若手のためにも儲かる仕組みづくりが必要」と口をそろえ、主な取り組みとして、高級ホテルや人気ブランドといった企業や団体、大学とのタイアップによる商品開発やPRのほか、観光と結びつけた伝統工芸品の製作体験など、収益化や認知度を広めるビジネスモデルを紹介。伝統技術を守りながらも、時代に合わせた展開の必要性を共有した。






