びわリハ大 発! 言語聴覚士が忘れてはならないもの
言葉がうまく出ない、飲み込みがうまくいかない。そうした悩みを抱える人を支える専門職が言語聴覚士(ST)です。高齢化社会の現在、医療や福祉の現場において、その役割は年々重要性が増しています。
私は2004年に言語聴覚士として臨床の現場に立ちました。白衣を着て医師や看護師と共に病室を回り、患者さんと向き合う毎日は刺激に満ちていました。養成校で学んだ医学的知識や評価法、訓練技術を生かしながら、言語やコミュニケーション、摂食・嚥下に支援を必要とする患者さん一人ひとりに対応してきました。
しかし新人時代は、決して順調ではありませんでした。新しい患者さんを担当するたびに疑問が生じ、「どうすれば良くなるのだろう」と試行錯誤を重ねる日々でした。懸命に勉強しても結果が出ず、自分の力不足を痛感して落ち込むこともありました。
そんな時、先輩の言語聴覚士からかけられた一言が、今も私の胸に残っています。それは、言語聴覚士のパイオニアのひとりとして知られる竹田契一先生が後進に伝えてきた言葉でした。
「あなたはSTとして、目の前の患者さんの手を握ってあげることはできる。それだけでいい。」
高度な知識や技術を身につける努力は、専門職として欠かせません。しかし、それ以上に大切なのは、患者さんのそばに寄り添い、不安や痛みに向き合う姿勢なのだと、この言葉は教えてくれました。
私は現在、この考えを、将来言語聴覚士を目指す本学の学生たちにも伝えています。自分は何のためにこの仕事をするのか。その原点に立ち返ることが、専門職としての成長につながると感じているからです。
誰かの苦しみに静かに寄り添うこと。その大切さは医療の現場に限らず、私たちの日常にも通じています。言語聴覚士として、そして一人の人間として、これからもその姿勢を大切にしていきたいと思います。
びわこリハビリテーション専門職大学
東近江市八日市東浜町1-5 TEL0748-20-1212






