『芸術家としてのモーツァルト』伝記作家ニッセンの報告
モーツァルトの身体的特徴(4)
では、ニッセンのモーツァルトの身体的特徴について書いた文章から見てみよう。「モーツァルトの顔の輪郭は、プロイセンのフリードリヒ二世やソクラテスの頭の形のように、非常に特徴的で、他人のものと見誤ることは絶対にあり得ない。だが、この並外れた才能を持つ人物の体つきには、これといった特徴的なものはなかった。小さな体の作りで、顔は好感が持てるが、チラッと見ただけでは、炎のように燃えている瞳を除き、この人物が偉大な才能の持ち主であることは、感じられなかった。目はキラキラしているというよりどんよりしており、かなり大きく、それが大変きれいな眉毛とまつ毛と合わさり、パッチリしている印象を与えた。彼はやせている時は、目がいささか突き出して見えた。それに彼は遠視だった。目はよくきき、視線は鋭かった。もちろん眼鏡も必要でなかった。その眼差しは、ピアノの前に座っている時を除き、落ち着きがなく、集中力を欠いているように見えた。だがひとたびピアノの前に座ると、顔の表情が一変した。その目は落ち着きを取り戻し、真剣なものになった。その都度その都度の指の動きに応じて、彼の内なる感情がその心中を語った。演奏を通じて自らの感情を吐露し、聴き手には強く心の中に働きかけることができた。
彼は小さな綺麗な手をしていた。ピアノ演奏ではそれをたいへん優美に、しかもごく自然に動かすすべを知っていた。音を楽しむ耳と同様、目でもそれを楽しんでいるに違いなかった。ことに驚くべきは、その手で縦横無尽に、ことに低音を、しっかりと鳴らすことができた点だ。つまりその点でもまた、モーツァルトはつまるところ、我々の時代の、指がピアノの上を子供のごとく走り回る天才たちとは、雲泥の差があったということだ。
頭は身体と比べるとかなり大きかった。手足を含めた身体全体は、均整が取れており、彼もまたそれを鼻にかけていた。鼻は美形だが、やせているとやはり大きく見え、結婚の当初は、ますますその大きさが目立っていた。朝刊新聞のモルゲンブラッテ紙では、彼はかつて『でか鼻のモーツァルト』と書かれているのだ。」これは、なかなか興味深い身体描写である。
モーツァルト・バー「キール」
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