猪子町の大倉さん 爪楊枝アート展示
【東近江】 脳梗塞をきっかけに、新たな趣味へと歩み出した大倉正勝さん(74)=東近江市猪子町=の「爪楊枝アート」が静かな注目を集めている。爪楊枝と接着剤のみで建築物を作り上げるもので、リハビリの一環として始めた腕前は今や職人の域に達している。有名建築物をモデルにした力作など約50点が、能登川コミュニティセンターのロビーで展示されている。5月末まで。(古澤和也)
大倉さんは6年前に脳梗塞を発症し、左手の機能や言語に影響が残った。回復を目指す中、妻の久子さんが取り組んでいた平面の爪楊枝アートに着目。「指先を動かす訓練になるのでは」と、立体作品づくりに挑戦したのが始まりだ。
大倉さん夫婦は、東近江市垣見町で飲食店「茶袴(ちゃこ)」を二人三脚で営んできたが、コロナ禍に閉店。約20年続けた店を、2人合わせて140歳の節目で「定年退職」という形で区切りをつけた。その後、「恩返しができれば」との思いで地域のボランティア活動などに参加する傍ら、爪楊枝アートにも打ち込むようになった。
材料は爪楊枝と接着剤のみで、身近な素材で制作することにこだわっている。カッターやピンセットなどを使用し、爪楊枝を板状に組んで接着剤で固定、必要な形に切り出して組み立てていく。円形部分は細かな調整を重ねながら仕上げ、内部構造も忠実に再現するなど繊細な技術が光る。
飲食店を営む前は建設関係の仕事に携わっていた。「図面は使わず、写真を見て頭の中で構造を組み立てる」と、当時培った感覚と技術が現在の作品づくりにも生きている。
制作時間は、多くて1日2時間ほど。簡単な作品であれば1週間程度で完成するという。また、身体の負担にならないようのめり込みすぎず、「楽しみとしての趣味」と趣味程度にとどめるのも上達のコツだといい、いまではソフトボールやゴルフにも取り組めるまでに身体も回復した。
会場には、久子さんの平面作品もともに展示されている。大倉さんは「作品を見てもらう機会ができたことはうれしい。これからもマイペースで作り続けたい」と話している。







