2区支部の幹部らが苦肉の策 大岡氏が有村町長の応援に入る
【愛荘】 2月22日投開票の愛荘町長選は、現職の有村国知氏(無所属)が、新人で元町議会議長の森野隆氏(同)をわずか128票差で制した。「もし自民党第2選挙区支部(第2支部)が森野氏推薦を県連に上げていれば勝っていた」と森野氏を応援した町議からは、恨み節が聞かれる。そこで愛荘町長選での推薦問題を追ってみた。(石川政実)
●3県議で推薦問題協議
自民党愛荘支部(支部長=竹中秀夫町議)の役員会は昨年12月4日、有村氏と森野氏の2人の中から森野氏の推薦を決定して、同愛知郡支部連絡協議会(会長=本田秀樹県議、略称・愛知連協)に上げ、愛知連協も間髪を入れず同第2支部(支部長=上野賢一郎厚生労働大臣)に森野氏推薦を上げたものの、そこから推薦問題は一向に進まなかった。
森野氏を応援する町議らから「早く第2支部で協議を始めてほしい」との声が相次いだ。
このため第2支部長の上野厚労大臣は「現在、第2支部副支部長の川島隆二、同支部幹事長の加藤誠一、地元の本田秀樹の3県議らが協議中であり、その状況を踏まえて対応したい」と弁明に追われた。
●国会議員の応援禁止
同党の慣例では、愛荘支部で森野氏推薦が決まれば、愛荘支部→愛知連協→第2区支部→県支部連合会(会長=小鑓隆史参院議員、略称・県連)の流れで、シャンシャンと県連推薦が決定されるはずだった。
ところが今回は、2区支部の役員会が開かれず、同支部の役員幹部だけで協議する異例の事態になった。
政界筋は「有村治子党総務会長の弟の国知氏が自民推薦から外れれば治子氏の顔に泥を塗ることになりはしないかと恐れて忖度(そんたく)したのだろう。もちろん有村総務会長はあずかり知らぬことだった」と背景を語る。
3県議は今年1月22日、森野氏推薦を2区支部から県連に上げないことを、2区支部長の上野厚労大臣も了承済みで申し合わせた。ただし、申し合わせは一切、文書化されなかった。
本紙の調べでは、この申し合わせは「愛荘町長選に向けて、2名から自民党への推薦願いが愛荘支部に提出され、愛荘支部や愛知連協において森野氏を推薦した。この判断は、組織としての結果であり尊重されるべきものである。しかし第2支部としては“諸般の状況”から、地域主体の町長選挙という枠で対応し、愛知連協での『推薦の事実を確認し、それを支持』するとした。このため選挙では、国政的関与は行わないこととし、国会議員はすべての陣営への応援に入らないとする」という苦肉の策だった。結局、森野氏の県連推薦は見送られた。
●「阿吽の呼吸」の第2支部幹部
3県議の一人は「今回の申し合わせは阿吽(あうん)の呼吸により、推薦を県連に上げないことで一致した。愛荘町の保守分裂を避けるための政治判断だった。それを“諸般の状況”としたが、その中に有村党総務会長への配慮があったことは否定しない」と認めている。
第2支部長の上野厚労大臣は本紙に対し「3県議の協議の末の結論である申し合わせは尊重した。うちの事務所などから県内の各国会議員らに伝達した」と述べた。
ところが愛荘町長選最終日の2月21日、第1支部の大岡敏孝衆院議員が有村町長の選挙応援に駆けつけた。これを知った森野陣営の県議や町議は、大岡氏や上野氏に電話などで抗議した。
大岡衆院議員は「そんな申し合わせがあることは知らなかった。しかし、この申し合わせは、2区支部の正式な組織決定ではない。それなのに県議や町議らが、国会議員の政治活動を拘束できるのか疑問だ。また、抗議の電話に対して『有村町長はどんな反党行為をしたのか』と聞くと、反論は出なかった。好き、嫌いで推薦するのは自民党の古い体質だ」と主張する。
●「2区支部や県連で総括を」
愛荘支部長の竹中町議は「2区支部の一部幹部だけで協議し、森野氏推薦を県連に上げずに事実上反故にしたことは許されない。また、どの陣営にも国会議員は応援に行かないと申し合わせておきながら、大岡氏だけが有村町長の応援に入ったことも納得できない。第2支部や県連で今回の件を総括すべきだ」と憤慨していた。
加藤県議は「県連には今も推薦、公認に関する規約や要綱などがなく、今回のようなケース・バイ・ケースの対応になる。県連も、これを契機にガイドラインの策定を行うべきだ」と提言する。
2区支部の一部県議からは「今夏の知事選の候補者問題で揺れている県連だけに、愛荘町長選の推薦問題が今後、知事選に飛び火しないよう2区支部や県連できちんと議論することが大事だ」との声が出ている。






