過去と向き合い家族の再生へ
◇湖南
「怒り、恥、感動を全部書きました。小さくなって生きるのはもうやめよう。この本を書くことで前に進もうと思った」と本紙に語るのは『それでも家族 夫が大麻を育てた日』(講談社)の著者の武村みゆきさん(46)。一昨年二月、武村正義元大蔵大臣(74)の長男である夫が大麻栽培の罪で逮捕された際、みゆきさんも義姉とともに逮捕された。夫はアルコール依存症から逃れようと大麻を吸っていたが、残っていた大麻を処分した家族も巻き添えになった(夫は懲役三年、執行猶予五年、みゆきさんと義姉は不起訴処分)。
取り調べの検事は「三人で吸うとったんと違うの。世間ではみんなそう思っているよ。それに(大麻を)捨てたってことは、捨てるとき手に持ったってことだよね。手に持つことを所持というんだ」と、強引に調書に指印を押させたという。
留置場に拘留された二十一日間、警察の厳しい取り調べにも気丈夫に耐えた。だがむしろ釈放後のほうが、マスコミや世間の冷たい目にさらされて、つらい日々が続いたことだろう。しかし、武村さんの家族は、過去ときちんと向き合うことで、その危機を乗り切り、再生の道を歩み始めた。夫を支えるみゆきさんの明るさが救いになって、すがすがしさが残る一冊である。(石川政実)






