月7日まで 蒲生公民館で開催中
◇東近江・蒲生
「誰が伝え、造ったのか」。素朴な疑問の答えを求めて調査・研究を始めた故・池内順一郎さん(一九三一~二〇〇〇年)の十周忌に合わせて、二十九日から遺徳をしのぶ展覧会「池内順一郎とともに展」が蒲生公民館学習室七で始まった。
池内さんは、日本最大最古の三重石塔がそびえる石塔寺の山の麓(ふもと)を住処とし、三十七年間にわたる忙しい教員生活の合間を縫って、近江文化の中でも石造遺品の研究に心血を注いだ。
特に、昭和四十一年から手掛けた旧神崎・甲賀・蒲生郡の石造品調査は県内でも先駆的な結果を残し、池内さん自らが現地に足を運び、一つひとつ丹念に調査・記録した資料は、今でも石造遺品をひも解く基礎資料として活用されている。
石造遺品の研究者だけでなく、近江の水環境を考える蒲生野考現倶楽部の初代代表や淡海文化を育てる会事務局長、保護司、旧蒲生町国際親善協会の第二代会長なども歴任し、次代に芽吹くまちづくりの担い手としても手腕を振るった。
教員を定年退職してから亡くなるまでの八年間、これまでの歴史・文化研究活動を生かし、県文化振興事業団発行の「湖国と文化」の編集長を務めた。「(雑誌は)読むものから見るもの」との考えから、写真を多用するなど文化をより身近なものにする誌面構成で、多くの愛読者を獲得した。
会場では、石造遺品の写真スクラップや調査内容をまとめたファイル、原稿・講演の事前準備として毎回作成していたミニ冊子、執筆書籍など、残されている膨大な資料の一部が紹介されており、展示品から伝わる池内さんの探究心や造詣の深さ、行動力に来場者も驚嘆している。
食事のとき以外はほとんどこもりっきりだったという書斎を再現し、愛用していた拓本セットや願成寺(仏足石)・梵釈寺(宝篋印塔基礎)といった身近な社寺に残る石造遺品の拓本、手書きの実測図、三千基を目標に一日二基制作していた手作りの五輪塔が目を引く。
池内さんが六十九歳で生涯を閉じるまで、研究活動に没頭できる環境を整え、陰で支えたのが妻の節子さん。運転免許を持たない池内さんの足となって調査に同行する傍ら、趣味の油絵を続けてきた。
今回は、池内さんとともに歩んできた節子さんの作品十一点を紹介する「油絵展」も同時開催している。
展覧会の開催期間は九月七日まで。開館時間は、午前九時から午後五時(入場は午後四時半)まで。詳しくは、蒲生公民館(0748―55―0207)へ。








