近江八幡で実証実験
◇東近江・近江八幡市
地域から出る生ごみを有機肥料素材として活用し、それで生産された環境こだわり農産物を、地域で消費する「新・食品リサイクルシステム」の実証実験が近江八幡で行われた。NPO法人日本食品リサイクルネットワークの関西支部(近江八幡市 吉田栄治支部長)の取り組みを紹介する。
現在、近江八幡市ではごみ焼却に毎日約二百万円強かかっている。年間八億円あまりの予算をごみといっしょに燃やしていることになる。約八十パーセントが水分の生ごみがごみの中に混入すると、それだけたくさんのエネルギーと費用を費やし、多くの二酸化炭素を放出することになる。つまり、生ごみの焼却処分に払う代償は膨大で、ムダが多い。
また、海外から高い肥料、飼料、燃料などを買って、二酸化炭素を出してきたこれまでの農業や畜産業のやり方においても、工夫を加えていくことが必要に見えてくる。行政も財政が厳しい中で、負の遺産に金を使わないように改善をしていかなければならないと思われる。
そこで、生ごみを減らし、有効活用することでムダを省き、さらには人や、地域、環境にやさしい循環型社会の構築をめざそうというのだ。
近江八幡での実証実験は、近隣の社員食堂や病院から出た業務系の生ごみをたい肥化したもので有機農法に積極的に取り組んでいる近江八幡市野村町の専業農家、園田耕一さんの運営する「近江たんぽぽ村」で肥料化し、稲作に利用してもらい、できた米を社員食堂などに納入するというもの。
また、各家庭で段ボール箱を利用して簡単・安価に作った家族三~四人分の生ごみ処理容器を使って、できた生成物を家庭菜園の肥料として使ってもらう「市民・生ごみリサイクルプロジェクト」を展開し、市民への啓発・普及を行っている。
生ごみは資源として、農地利用や家畜飼料として全部使えることが証明されており、近江八幡地域で出たものは近江八幡地域で利用し、生産、消費する、循環システムの構図が見えてきた。「大地の恵みは大地に返す」「市民の生活を変える」ことを提案し、「ごみの山を宝の山に」と呼び掛ける。
生ゴミ処理機から回収
例えば、総合医療センターには、業務用生ゴミ処理機「厨芥処理機」が二台設置されている。一台で一日当たり百キログラムの処理能力があり、機械で微生物醗酵により七分の一に処理され、近江たんぽぽ村で引き取りを行っている。
近江たんぽぽ村で生ごみは異物除去、混合、調整し、米ぬかや大豆くずなどと混ぜて農地利用し、減農薬・無化学肥料栽培でオリジナルの有機栽培に使われており、そうしてできた米が引き取り先の食堂へ提案・納入される。
生ゴミからできた生成物
トラクターで生成物をまき、土と混ぜて土づくり
園田さんの近江たんぽぽ村では、事業所七―八社から生ごみをたい肥・農業資材として買い取り、一月ごろから米ぬかや大豆くずなどと混ぜて二次加工した上で、トラクターで生成物をまき、土と混ぜて土づくりを行う。
現在、近江八幡市北里地区と野洲市の旧中主町地区を中心に、約二十ヘクタールに利用している。平成二十年は一年間で約四十トンを投入した。
園田さんは「畜ふんは使わない。JAS認定でも食品残さ(生ごみ)は最高評価で、何よりも人が口にするものだから安全にまちがいない。土づくりに化学肥料を使えば、五十年前の土に戻すには百年かかる。生きた土がつくりたい」と話す。
米収穫
四月末から六月上旬にかけて早稲・晩稲の品種をそろえて田植えを行う。適期の刈り取りを徹底し、「完熟と刈り終わりは紙一重」と、完熟米にこだわる。
「誰の口に入るかわからんものつくりたくない」「わしの米を食べたい人のためつくる」と話す園田さん。顧客は東京・名古屋・北海道・沖縄までの米屋と個人、全国に及ぶ。
今後は、いかに早い時期に肥料を供給できる体制をつくることができるかが課題で、「できればペレット化したい」とますます意欲を燃やす。
段ボール箱を使った家庭用生ごみ処理容器
家庭での段ボール箱を使った生ごみ処理容器は、段ボール箱、米ぬか、腐葉土、(網・もみ殻)など身近な資材を使って簡単に作ることができる。
市民のメンバーと一緒に市のイベントなどで活動を紹介する展示や啓発活動を展開しているが、平成二十年度から「生ごみリサイクル学習会」を開き、市環境課の協力により、七月から毎月開催するようになった。毎回、定員オーバーの人気ぶり。
生ごみリサイクルで、むだな費用やエネルギーを削減し、二酸化炭素排出量の抑制にもつながる。食の安全・安心も確保でき、余分の経費を有効に振り分けることもできる。ゴミ減量化だけでなく、食糧の自給率向上、税金のむだ使い抑止、市民の生活意識改革、地球温暖化防止にも貢献できるもので、沢山の人と頑張っていきたい。












