本邦初マグロ学術エッセイ「マグロはおもしろい」発刊
日本人が一年間で食べるマグロは、およそ四十七・三万トン。世界のマグロ漁獲量の実に三分の一近くを独占している。世界のマグロの消費量はこの三十年間で約三倍に増え、争奪戦の様相を呈し始めている。
なじみ深い魚だが、書店に並ぶ関連本は「漁業、流通、魚河岸に関連するグルメ情報、標本の計測に基づいた俗説などの説明に終始し、意外にその生態は知られていないのです」と、滋賀県出身の海洋学研究家、北川貴士氏(東京大学大学院助教)は嘆く。
そんな同氏が出版した一般向け学術エッセイ「マグロはおもしろい~美味のひみつ、生き様のなぞ~」(講談社)は、最新の研究成果をもとに太平洋を回遊するクロマグロの生き様に迫った新書だ。
本書は、「マグロはいつも猛スピードで泳いでいて、止まると死んじゃう」は大きな誤解であることや、「下魚」扱いされた江戸時代、体温を二十度に保つ熱い血潮、日本近海からカリフォルニア沖への大回遊、危険を冒して産卵する母性愛、このほか、魚を題材にした古今東西の文学や、海洋調査のこぼれ話もちりばめられ、まさに「目からウロコ」の内容となっている。巻末にはさかなクン(東京海洋大学客員准教授)との爆笑対談つき。定価六百二十九円(税別)。
北川貴士氏 昭和四十七年滋賀県生まれ。東京大学大学院新領域創成科学研究科助教・大気海洋研究所兼務助教。京都大学農学部卒。東京大学大学院農学生命科学研究科水圏生物科学専攻博士課程修了。博士(農学)。平成十八年度日本水産学会論文賞、同十九年度日本水産学会水産学奨励賞、同二十二年度日本農学進歩賞など受賞。






