未来の党・嘉田代表の原爆発言、反響呼ぶ
◇全県
日本未来の党代表の嘉田由紀子知事は四日のNHK番組“ニュース7”などで「二つの原爆で戦後、戦中の軍国主義から抜け出ました。今回の原子力事故、本当に大きな犠牲を国民に強いてしまいました。これを乗り越える形で新しい社会システムが求められる」と発言し、インターネット上で大きな反響を呼んでいる。なぜかマスコミが報じない原爆発言について、各党の声を聞いた。【石川政実、高山周治】
原爆発言について嘉田氏は九日、大津市内での記者のぶら下がりで「米国側の歴史観に立ったものでなく、原爆と原発事故の二つの出来事は大きな歴史的転換点だったということを述べたもの」と釈明した。
社民党県連の小坂淑子代表は「二つの原爆で戦後が開かれたと言うのは、いまなお後遺症に苦しむ被曝(ひばく)された方々がおられる中で、あまりにも乱暴な発言だ。すでに沖縄戦の敗北や本土空襲で、日本は降伏する寸前にあった」と憤る。
みんなの党滋賀の蔦田恵子代表は「原爆と原発を一緒にするのは、被爆者や被災者の痛みを忘れた危険な思想だ。北朝鮮に原爆を落とせば、独裁国家がなくなるということにもつながりかねない。嘉田さんは、福井県の原発から千四百万人の水源である琵琶湖を守るために未来の党を立ち上げたと言うが、事故が起これば最も被害をこうむる福井県民のことが抜け落ちている。原爆発言でもそうだが、本当に苦しむひとへの思いやりが欠落している」と言う。
自民党県連の家森茂樹幹事長は「嘉田さんの発言は久間章生元防衛相の『原爆しょうがない』発言と同じで、とんでもないことだ。原発を争点化しようと、わざと原爆をリンクさせて原発の恐怖を情緒的にあおろうとしたのだろう。むしろ未来の党は、原発脱却のプロセスをきちんと示すべき」と指摘する。
奥谷和美・共産党県委員会委員長も「原爆が落とされたから戦争が終わったというのは、理由や経過が全く違う。原爆の被害で多くの方が亡くなっている。原爆投下で戦争が終わったという発言はあまりにも不見識。原発事故が起こったから、新しい社会システムが求められているというのも、被災者への気持ちを顧みない発言だ」と語っていた。
市民運動団体の「原発を知る滋賀連絡会」事務局担当の池田進氏は「現代史を知らない発言だ。当時、日本は事実上、負けていた。原爆が軍国主義を終わらせたというのは、原爆を正当化する米国が『原爆投下で百万人の将兵の命が救われた』とよく言うのと同じだ。原爆が投下された背景には、米国のソ連へのけん制や膨大な国家予算を使って完成させた手前、投下せざるを得なかったことがあった」と言う。
広島市平和推進課の下崎正浩課長補佐は「“ニュース7”を見ましたが、原爆のことを言っておられたと思ったら、なんの脈絡もなく、原発のことに話が移り、わけがわからなかった。政権与党にいて要職にある政治家の問題発言なら、市長は抗議文なり要請文を出しますが、そうじゃないとコメントしません」と冷めた表情だった。







