「地域へのいじめ」と地元の怒り
県議会の本会議が十一日開催され、「県流域治水条例」案について、建築規制や罰則のあり方、住民説明が不十分として、賛成多数で継続審議することに決まった。このため条例案は十一月議会以降に見送られる。嘉田由紀子知事は閉会後、住民に理解を求める地元説明会へ意欲を示した。【高山周治】
同条例案は、二百年に一度の確率の大雨で三メートル以上の浸水深が想定される地域を「浸水危険区域」に指定し、住宅などを増改築、新築する場合、地盤をかさ上げするか、避難所を設置することを義務付けるもの。違反した場合は、二十万円以下の罰則が科せられる。
浸水危険区域に見込まれるのは約千七十戸で、とくに長浜市の旧虎姫町は約八百戸と集中する。地元からは、事前に説明なく建築規制の網をかぶせる強引な手法に、怒りの声が相次いだ。
長浜市と近江八幡市、竜王町の関係二十自治会は急きょ、流域治水条例浸水危険区域想定住民連絡協議会(山内健次代表)を発足し、抗議文を嘉田知事に提出した。
嘉田知事が、条例案を住民の命と財産を守る「支え」と例え、理解を求めたのに対して、山内代表は「真綿で首を絞められるようで不快だ。地域へのいじめに他ならない」「『支え』というならば、なぜ事前に地元への説明がなかったのか」と、厳しく批判した。
このほか県議会に対しても、条例案への慎重な対応を求める請願が、近江八幡市浄土寺町自治会と竜王町弓削自治会、「虎姫の治水を考える会」(長浜市)からそれぞれ提出された。
本会議の採決に先立って「継続審査」を決めた県議会の政策・土木交通常任委員会では、建築規制のかかる長浜市、竜王町、甲賀市の住民三人が参考人として、「建築規制よりも、避難・誘導で対応できるはず」「住む人が減って地域が疲弊してしまう」「地域の誇りが失われる」と否定的な意見を述べる一方、「建築規制は人命、財産を守るのに有効」と賛同する意見もあった。ただし、いずれの住民も、河川整備がなおざりになることに懸念を示していた。
知事 地元説明に意欲
「建築規制と罰則」譲れぬ
県議会で継続審議の決定を受け嘉田知事は、住民への説明不足との指摘について「十一月議会の前になるべくたくさんの地域に行き、丁寧に説明したい」と意欲を見せ、河川整備も「五年計画で出す」とした。
しかし、建築規制と罰則については、すでに県議会で議決された基本方針に盛り込まれていることから、「これを外すと、(すでに賛成している)県議会の一貫性が問われる」と難色を示した。







