自民、経産省、経済界が総力戦へ
●3・11と「びわこ宣言」
平成二十三年三月十一日、東日本大震災が発生。この地震により巨大津波に襲われた東京電力福島第一原子力発電所は史上例を見ない原発事故を招いた。
嘉田知事は二十四年十一月二十七日、『福島の事故は、放射性物質を大気や水中に広げることで地球を汚した、この重い責任を感じることなく、経済性だけで原子力政策を推進することは、国家としての品格を失い、地球倫理上も許されない』との「びわこ宣言」を行い、「卒原発」を掲げて、小沢一郎氏らと日本未来の党を旗揚げした。
しかし、同年十二月の総選挙では惨敗した。
●再稼働容認の小鑓氏
政府は先月二十五日、閣僚会議を開き、新たなエネルギー基本計画案を決定した。政府案では、原発は「重要なベースロード電源」と位置づけ、原発ゼロ路線を否定し、「再稼働を進める」と明記した。そこには再稼働をなんとしても進めようとする経済産業省の執念があった。
この経産省出身の隆史氏(47)は四日、県庁で知事選の出馬表明を行った。福井県の大飯原発などの原発再稼働について同氏は「エネルギーの多様性を確保するため、原子力規制委員会の世界最高水準の厳しい基準をクリアする原発なら、当面は使っていかざるをえない」と政府案と同じ認識を示した。
●最重要選挙区
原発を進めようとする安倍政権にとっては、めざわりな知事がいる。原発再稼働に慎重な嘉田知事や新潟県の泉田裕彦知事らである。
二月の東京都知事選では、舛添要一氏が圧勝し、脱原発の宇都宮健児氏や細川護熙氏が敗れた。滋賀県知事選は、脱原発派の息の根を止めるためにも、自民党本部にとって最重点の選挙でもあるのだ。
一方、民主党県連ではこの二日、近江八幡市で定期大会を開き、知事選に自民党が小鑓氏を擁立することに、三日月代表は「(自民・安倍政権の)独善暴走を県政にまで持ち込んでいいのか。重大な決意で知事選に臨む」と自民への対決姿勢を鮮明にしたが、表情はいつになく硬かった。
●嘉田、三日月会談
この九日、民主党の元国会議員の要請もあり、嘉田氏と三日月氏は一対一で会談することになった。三選出馬の意向が強い嘉田氏と、民主党の組織防衛のためにも知事選出馬に意欲的な三日月氏が、一本化調整に向けて腹を割った話し合いを行った。結論は出ず、二十四日の県議会閉会日まで協議を重ねることになった。
もし嘉田知事が出馬するなら自民党や経産省、大戸川ダム建設を目論む国土交通省、原発再稼働に動く電力会社などが総力戦で嘉田知事つぶしに挑みそうだ。
他方、小鑓氏の登場について、共産党県員会の石黒良治書記長は「自民党直結を狙った県政であり、アベノミクス型の企業競争力を重視し、大型事業優先を露骨に進める県政にしようとするもの。また小鑓氏は経産省出身の官僚だけに(福井県の)原発再稼働を推進しようとするものであり、許すわけにはいかない。知事を独自で擁立していく」と話した。
(石川政実)










