嘉田知事が6月臨時会議で最後のあいさつ
◇全県
平成十八年のマニフェストで示した「三つのもったいない」のうち、一つ目の「税金のムダ使いもったいない」では、新幹線新駅や廃棄物処理施設整備、ダム建設など高コスト体質の公共事業について、より安価な方法を採用して歯止めをかけることにより政策転換を実現しました。そして、実質的な県債残高を九百億円以上減らすとともに、基金も三百億円を確保するなど、財政の健全化にも一定の成果をあげることができました。
二つ目の「子どもや若者が自ら育つ力、そこなったらもったいない」では、少子化に歯止めをかけるため、若者や女性が元気を取り戻せるよう保育士や保育ママの確保のほか、「滋賀マザーズジョブステーション」や「おうみ若者未来サポートセンター」の設置など雇用施策を進めてきました。
三つ目の「琵琶湖や自然の力、こわしたらもったいない」では、平成四十二(二〇三〇)年に温室効果ガスの半減を掲げて第三次滋賀県環境総合計画を策定するとともに、地産地消型の再生可能エネルギーの推進を図ってきました。このほか、一期目には、過去の県政の負の遺産ともいえる「造林公社の巨額負債」や「RD廃棄物処分場問題」など、一つひとつ粘り強く課題を取り除き、未来の滋賀づくりのための「土壌改良」に力を注いできました。
原発の「被害地元」として
リスク評価に取り組む
そして二期目には、その土壌に種を蒔(ま)き、水と肥料を注ぐために、マニフェスト「もったいないプラス」を反映した基本構想に基づき、「住み心地日本一の滋賀」の実現に取り組み、今や多くの施策が芽を出し始めています。
「超高齢社会」を迎えても、安心して住みなれた地域で暮らし、老い、最期を迎えられるよう、「医療」と「福祉」が一体となって暮らしを支える「医療福祉」の仕組みづくりに取り組み、「滋賀モデル」ともいえる「在宅看取り」のシステムが動き始めています。経済産業政策として、内需型産業や研究拠点の誘致に力を入れ、毎年二十件を超える企業誘致を実現したほか、「中小企業条例」も制定しました。
また、滋賀の福祉の伝統の中で育まれてきた「アール・ブリュット」と、仏教美術や郷土出身の美術をはじめとする近代美術とを一つに束ねる新生美術館が動き出しました。こうした文化振興策に加えて、三十六(二〇二四)年の二巡目国体の主会場が彦根総合運動場に決まり、いよいよ「スポーツと文化の十年」のスタートを切ることができました。
加えて地域防災力の拠点となる危機管理センターの整備を進めてきました。さらに県民の命と財産を守るため「県流域治水条例」についても、議会での熱心な議論を経て、さる三月二十四日に議決をいただきました。併せて、若狭湾岸の原発集積地に隣接する本県は、万一原発事故が起これば、深刻な影響を受けざるを得ない「被害地元」ともなるため、リスク評価や広域避難体制の整備も進めてきました。
一方、広域的課題への対応という面では、二十二年十二月に関西広域連合が発足したことは、「地域のことは地域で決める」地域主権改革への意義深い一歩となったと考えています。
埼玉県生まれの私が滋賀県とご縁をいただいた、そもそもの始まりは十五歳、中学校での修学旅行でした。それから半世紀近くが流れましたが、修学旅行で初めて訪れた比叡山延暦寺の開祖である伝教大師最澄の言葉「忘己利他」は、知事としての私の座右の銘でもあります。愛してやまない滋賀、そして琵琶湖のため、「己を忘れ、他を利する」という言葉に恥じることなく、二十四時間、三百六十五日、知事の務めを果たすことができたのも、議員各位や県民のお支えあってのことです。
残りわずかの任期ではありますが、力いっぱい務めさせていただき、その後は、新しく知事となられる方に滋賀の未来を託したいと思います。







