経営ひっ迫の医療、介護事業所をブラック企業が虎視眈々
【全県】 「このままでは、新型コロナウイルスが再流行する前に県内の相当数の病院が、経営破綻を招くおそれがある。行政の思い切った支援と協力が不可欠だ」と訴えるのは、県内の全57病院で組織する県病院協会の石川浩三会長(大津赤十字病院長)。
同協会は6月26日、協会の役員を務める病院のうち、17病院の経営状態の集計データを携えて、三日月大造知事に要望した。
●衝撃の集計結果
集計データによると、入院や外来の診療報酬による「医療収益」(一般企業の売上げ)の3~5月合計は約362億4900万円と、前年同期比で37億7200万円(9・4%)減少している。
1病院平均で前年同期より2億2200万円減となった。この要因として、コロナ感染を恐れた受診控えや、予定していた手術の延期などが挙げられる。
収益から人件費などの費用を引いた「収支」の3~5月合計も55億6千万円の赤字で、前年同期の2・4倍に膨れ上がるという衝撃的な内容だった。
●火の車とボーナス
「6月のボーナスは満額支給したのか。(公立病院の)あんたらは民間病院の厳しい現場を見るべきだ」。10日に開かれた県議会厚生・産業常任委員会に出席した県病院事業庁担当者へ、県議から厳しい言葉が浴びせられた。
ちなみに県病院事業庁は、県立総合病院(守山市)、県立小児保健医療センター(同)、県立精神医療センター(草津市)の3病院を経営している。コロナ患者を受け入れている県立総合病院(注)の3~5月の医療収益も、前年同期比で4億3500万円減(11%減)の35億600万円と落ち込んだ。
宮川正和・病院事業庁長は「経営は苦しいが、病院経営は人で成り立っているので、給与の部分は最後に考える部分」とし、県庁の一般職員に準じて6月のボーナスは2・25か月の満額支給をした。
しかし、いざとなれば自治体が支援する公立病院と違い、民間病院はコロナ禍で大幅な減収に陥り、ボーナスのカットを余儀なくされるところも。
●吸収合併が活発に
県内の介護施設事業者は「コロナ禍で県内の病院や零細な介護施設は経営破たんの危機に直面しているだけに、今後、吸収合併の動きも活発化する。それを虎視眈々(こしたんたん)と狙っている県外の企業の中には、ブラック企業も含まれている」と眉をひそめる。
コロナ禍による病院経営のひっ迫は、別の形で医療崩壊を招きつつあるのだ。(石川政実)
(注)県立総合病院=2019年度決算は、収益が前年度比2億8300万円増(1・6%増)の175億9800万円だったが、看護師増など費用の増加が収益を上回り、経常収支は7億8900万円の赤字となった。これに加えて、これまでの累積赤字が176億3900万円にのぼり、厳しい経営が続く。






