「幻の安土城」復元プロジェクト
【県】 県は取り組んでいる「『幻の安土城』復元プロジェクト」での安土城「天主」復元の方向性と方法について、このほど行われた県議会教育・文化スポーツ常任委員会で案を示した。同委委員らからは「地元からは落胆の声が挙がっている」「ただ天主を復元すればいいというわけではない」といった意見が挙がった。
現物を「復元」か、デジタルで「再現」か
県議らからは「県の対応に落胆」の声も
●安土城「見える化」4案
県は7月に第一回安土城見える化検討会議を開き、国指定史跡である同城をどのように見せるかについて(1)史跡等における歴史的建造物として「復元」する案(2)史跡等における歴史的建造物として「復元的整備」する案(3)現地(史跡地)以外の場所に「再現」する案(4)デジタル技術を応用し、「再現」する案の4案を示した。
●「見える化」に対する意見と県の方向性
9月3日~10月5日、同4案を元に県が広く意見を募集したところ、県内外から120通の意見が寄せられた。県の集計によると、(1)~(3)案を取り入れた「建ててほしい」が43・3%、(4)案や提示案全てに反対とする「建てなくてもよい」が53・3%となった。また、寄せられた主な意見として「県民の悲願として((1)案で)進めてほしい」、「((3)案として)旧安土町役場の西の山上に再現すれば四周から遠望できる」や「安土城の遺構は唯一無二。安易な建物復元ではなく、(4)案がよい」、「コロナ禍で日々の暮らしに困っている人が多い中、こうした事業は税金の無駄遣い」などがある。
県は今月2日、集まった意見やこれまでの検討内容などを元に第2回検討会議を開催、今後の方向性として「『幻の安土城』の『復元』を目指し、まずは保全を図った上で、安土城の全容解明に向けて、令和の大調査を開始するなど調査・研究を続け、今後とも夢を追い求めます」と「来る令和8年の安土城築城450年をひとつの目標として前述の調査結果をもとに、デジタル技術を活用した『幻の安土城』の『見える化』を進め、安土城の価値と魅力を広く発信していきます」の2点を柱とする案を取りまとめた。
●「復元」をめぐる議論
11日、県議会常任委員会で県からの報告を受けた同委委員の重田剛県議は「地元では県が現地で復元してくれるとの期待が高かったが、県は今、デジタルでの再現に重きを置いているようだ。それに対する落胆が大きいことを心にとどめて進めてほしい」と提言した。また、木沢成人県議は「安易に現物を建てる議論ではなく、県民や県内の有識者の意見をちゃんと聞いたうえで議論し、当時の城がどういう役割を持ち、どういう意味を持っていたのかについて、県としての意見をアピールするようにしてほしい」と述べた。
県は「現地での復元を諦めたわけではない」とし、「方向性と方法を固める一定のタイミングを年内として進めていきたい」としている。(羽原仁志)







