「小原かご」の魅力がつまった書籍出版
【長浜】 長浜市余呉町の丹生ダム建設予定地の村で作られていた民具「小原かご」の唯一の伝承者から学んだかごの魅力やかつての地域の暮らしを知ることができる書籍「自然と神々と暮らした人びとの民具 小原かご」(著・荒井恵梨子、出版・能美舎)が先月30日付で発行された。
同市の奥丹生谷と呼ばれる地域では、イタヤカエデやモミジなどで編まれた木かごが代々作られていた。養蚕で用いる桑の葉入れや山入りの際のなた入れなど用途に合わせて様々な形や大きさで作られ、竹かごにはないしなやかさと100年もつと言われた丈夫さが人気で湖北地域を中心に広く流通、奥丹生谷7か村の収入源の一つとなっていた。特に、かご作りにまつわる民話が伝承される旧・小原村では、一子相伝の技術としてかご編みの技法が大切に伝えられていた。
しかし、高度経済成長に伴う重要の変化やダム建設の影響で7か村は廃村となり、現在、かご編みができる人は小原村出身の太々野功さん(87)のみとなっている。
著者の荒井さん(34)は、金沢大学大学院で文化資源学修士課程を修了した後、2018年に地域おこし協力隊として同市木之本町木之本に移住した。北国街道沿いで店舗「カフェと日用品 コマイテイ」を営む傍ら、学生時代などで学んだことを生かし、地域資源の活用を通して地域に根付く文化を育むことを目指した活動に取り組んでいる。同年冬、太々野さんが開いた「小原かご」編み講座に参加したことがきっかけで「小原かご」に魅せられ、太々野さんの工房に通って本格的に習い始めた。
かご作りを習っていく中で、荒井さんは「『小原かご』を残していくには、かごの背景も含めて知ってもらう必要がある」と考え、太々野さんがかごを編みながら語った村の話も織り交ぜた「小原かご」の本として発表することを決めた。
同書では、様々な形の「小原かご」の紹介や編み方のほか、太々野さんへの聞き取り、自給自足でも豊かでたくましさが伝わる村の暮らしを当時の写真やイラストなどとともに丁寧に紹介している。
このほど県庁で出版記者会見を開いた荒井さんは「今は廃村となった村のことは本に残さなければなくなってしまうと思った」と述べ「こういう暮らしをしていた人たちが大切に使っていたかごが今も作られていることを知ってもらうきっかけになれば」と期待を語った。
同書はB5判、96ページ。定価1980円(税込)で県内の主な書店などで販売している。






