近江鉄道の上下分離を前に
【東近江】 近江鉄道線は来春から、公設民営による「上下分離」に移行するが、今後の課題は、公共交通とまちづくりが両輪となった地域活性化だ。
そこで公共交通を生かしたまちづくりに関わる人材を育成する連続フォーラムが10月から、東近江市内で開催されている。
第2回フォーラムは今月12日、廃線危機から乗り越えたえちぜん鉄道(福井県)と福井鉄道(同)の先進事例や、近江鉄道を利用する高校生の声を聞いた。
両鉄道は、福井市から延びるローカル鉄道で、2社3線、約51キロ。自動車依存の高い福井県でも通勤通学の足として重宝されている。
そんなえちぜん鉄道に廃線の危機があったのは、2000~2001年に2度発生した正面衝突事故。国は全路線の運行停止を命じ、代行バスが運行した2年間は、幹線道路の渋滞が慢性化し、高校生の遅刻が常態化した。
県議会では廃線論が大勢を占めたが、存続運動が起き、02年に第3セクターのえちぜん鉄道が生まれた。
また、福井鉄道も存廃問題が出たが、09年に国の鉄道再構築事業の第1号認定を受け、上下分離で再生。16年には、両鉄道は相互乗り入れを実現、利用者を順調に伸ばしている。
この中で講師は、道のりは決して平坦でなかったと振り返った。
元えちぜん鉄道専務の伊東尋志さんは、「最初の5年はボロボロ。完璧な正解はなく、小さなことでも一つ一つ実行することが必要」と話し、駅清掃やトイレ整備などを挙げた。
交通結節点エリアのJR福井駅前で官民共同の再開発に参画する岩崎正夫さん(まちづくり福井会長)は、JRとの乗り継ぎが悪かったえちぜん鉄道を福井駅へ140メートル延伸させた事業について、「当初、駅前商店街は車利用の客の邪魔になると大反対だった」と明かし、その後、同じ方向に向くようになり、情報の「共有が良い結果をもたらす」とした。
存続運動を後押したNPO法人ROBA事務局長、清水省吾さんは、若い人に関心を持ってもらうのが重要とした。
また、近江鉄道を利用する高校生は、「防犯カメラを設置すれば安全に利用できる」などと提案した。
主催する市民団体代表の宇都宮浄人関西大学教授は、「近江鉄道が上下分離される来年以降は、交通とまちづくりのつながりを意識し、問題意識をもつことが、地域の発展につながる」と話していた。






