地域伝統の味を商工会女性部が復活
【近江八幡】 近江八幡市安土地域の郷土料理「安土のふなやき」が今年3月、地域に根付く食文化を認定する文化庁の「100年フード」(伝統部門)に認定された。このほど「安土のふなやき」を復活させた安土町商工会女性部のメンバーらが県公館(大津市京町4)で三日月大造知事を表敬訪問し、「100年フード」認定を報告した。
「100年フード」とは、日本の多様な食文化の継承・振興への機運を醸成することを目的に、地域で世代を超えて受け継がれてきた食文化を100年続く食文化として2021年度から認定している取り組み。これまで全国から250件が認定されており、県内からは「安土のふなやき」の他、「よびしの食」(多賀町)、「近江日野の伝統料理~鯛そうめん、肉めし、日野菜漬け~」(日野町)、「大津のうなぎの食文化」(大津市)、「石部のいもつぶし」(湖南市)が認定されている。
「安土のふなやき」は、水に溶かした小麦粉を薄く伸ばして焼いた料理で、安土地域では家庭の味、子どものおやつとして親しまれてきた。同商工会によると、以前は各家庭でよく作られていたが、日本が豊かになってくるにつれ、地域でも知らない世代が増えていったという。
2019年、同商工会女性部が中心となり「懐かしい味を復活させよう」と取り組みをはじめた。研究と試行錯誤の末、誰でも再現できる現代風のレシピを完成させ、地元の飲食店で「ふなやき」を食べられる場所の確保を進めた。さらに地域の小学校などに出前講座に出向き、子どもたちにも地域の味を伝える活動も始め、昨年はレシピを掲載したパンフレットも作成したほか、地元のあづち信長まつりに出店し、来場者に地域の特産品としてPRした。
同商工会の取り組みを聞き、「安土のふなやき」を試食した三日月知事は「ストーリーがあり、家庭の子どもへの愛情もあり、次世代に地域のことを伝える教材にもなっている。とてもいい素材だ」と述べ、認定を祝った。
「ふなやき」は戦国時代、織田信長に重用された茶人の千利休が茶会で上菓子として出していた「ふの焼」がルーツとも言われ、同商工会では「大名に出されていた菓子が現代では子供のおやつに転じて残っているのはおもしろい」という着想から、今回の認定を機に、「安土のふなやき」に千利休にちなむ植物リキュウバイをデザインした焼印を押すことを決めた。また「安土のふなやき」が食べられる店舗なども今後も増える予定で、同商工会の高木敏弘会長は「26年の安土城築城450年祭に向け、地域を盛り上げていくきっかけになれば」と期待している。








