市内学童保育所で不適切保育疑惑
【栗東】 竹村健・栗東市長の定例記者会見が先月29日、同市役所で開かれ、本紙が同月14日付けで報じた市内のA学童保育所(民設民営)の代表者による女子児童への人権侵害など不適切保育疑惑が発生していたことについて、記者から事実関係を求める質問が出て、市は初めてこの問題に対する初動対応の遅れを認めた。(石川政実)
市「事実確認が出来ない」の一点張り
母親「PTSDの子どもこそ客観的事実」
答弁に立った村瀬信幸・こども家庭局長は「学童保育所(学童)の元利用者の保護者が訴えているパワハラ行為(不適切保育)などについて、学童側に事実確認をしたところ、そのような行為はないと断言しており、事実の確認ができなかった。今年4月にも学童の現地確認を行い、職員などから聞き取りをしたが、そのような事実を確認できなかった」と述べた。
女子児童の母親である高橋圭子さん(仮名)によれば、小学校低学年の真由美さん(同)は昨年7~8月、学童の代表者から激しく怒鳴られたり、謝罪を強要されたりしたことで、現在も過去の出来事がはっきりと思い出されるフラッシュバックや代表者の悪夢にうなされる心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しめられているという。
高橋圭子さんは何回もこの状況を訴えたが、市は「学童側が『そのような行為はしていない』と否定しており、事実確認は出来なかった」を繰り返すばかり。
また村瀬局長は会見での答弁において「保護者(高橋さん)には、市の初動対応が遅れたことに対するお詫びを申し上げるとともに、パワハラ行為があったことを公表すべきという(保護者の)意見については確認できない段階では公表しない旨を伝えた」と釈明した。
●ほぼ電話のみのお詫び
昨年度まで市の子育て支援課課長だった藤井真理子氏(現在、議会事務局課長)によれば、高橋さんが昨年10月2日に学童の代表者から不適切行為を受けたと市に報告してから以降、同課長は一度も電話をしなかった。ようやく今年2月末になって高橋さんにはじめて電話し「これまで担当係長に任せきりで電話をせず申し訳なかった」と詫びたという。同月29日にも保護者に電話した際も「お母さんの思いを汲み取れなかった」と同様に詫びている。
その後も2回ほど藤井課長は高橋さんに電話連絡をした際、詫びたが、いずれも電話のみにとどまった。
4月から藤井課長の後任になった山本新一課長も、9月まで高橋さんに連絡をしなかった。しかし高橋さんが8月、A学童を同時期に退所した児童への聞き取り調査を求める申し入れ書を市長宛で提出したため、山本課長は9月6日、高橋さんと調査方法について協議を行った際に、はじめて詫びたとしている。
会見で謝罪しなかった
村瀬局長の本気度は?
しかし本気で市が対応の遅れを反省するなら、先の定例記者会見で部署トップの村瀬局長自らが高橋さんへ正式に謝罪をすべきだった。
高橋さんは「私は市に謝罪や賠償を求めているわけではありません。ただ学童がより良い場所になることを願って、竹村市長や村瀬局長らと、きちんと話し合いたいと思っているだけです。またA学童の代表者が断じて不適切保育をしていないと断言するので事実の確認ができなかったと市は主張するが、児童にとって安心、安全であるべき学童に通ったがために1年半も子どもが心に深い傷を負っていまも苦しんでいる客観的事実に対して真摯に向き合ってほしい」と訴えた。
●順守されなかった厚労省事務連絡
市の対応の遅れは、お詫びではすまない問題をはらんでいる。厚生労働省は昨年1月、学童(放課後児童クラブ)における虐待などの不適切行為が疑われる事案の報告を受けた場合の対応について都道府県や市区町村の担当部局に事務連絡を行った。
具体的には、問題事案の報告を受けた場合、市区町村の担当部署などで迅速に対応方針を協議し、方針を定めることが必要である。この際、事案の内容に応じて、担当部署にとどまらず、市区町村の組織全体として事案を共有し、対応することが重要である。さらに事案の重大性に応じ、公表などの対応を判断していくことも重要―としている。
今回の市の一連の対応の遅れは、厚労省の事務連絡を順守しなかったことが要因の一つであり、その意味でも責任は重大であろう。






