【大津】 滋賀大学名誉教授で文学博士の小笠原好彦氏(大津市南郷6)がこのほど、古代の近江に営まれた寺院の実態解明を論考する書籍「近江の古代寺院と造営氏族 発掘した遺構と軒瓦から謎を解く」(サンライズ出版)を出版した。
このほど、小笠原名誉教授が県庁で記者会見を開き、同書を紹介した。
日本古代史などを専門とする小笠原名誉教授は「古代、近江は重要な地域だった」と語る。今回の書籍は2021年に出版した「古代近江の三都 大津宮・紫香楽宮(甲賀宮)・保良宮の謎を解く」に続く、小笠原名誉教授の最新の論考となっている。
書籍「近江の古代寺院と造営氏族」は、大きく分けて三部構成となっている。
第一部は、小笠原名誉教授が新聞紙面上で行っていた連載から、湖西・湖南・湖東・湖北の各地域別に代表的な古代寺院21事例を取り上げ、それらの歴史的な背景について論考する。例えば、「大津廃寺」(大津市京町2)は、出土した瓦が飛鳥(奈良県)の寺院と同じ鋳型で作られたことがわかったことから、天智天皇が造営した尼寺だった可能性を指摘する。また、「蜂屋廃寺」(栗東市蜂屋地先)からは法隆寺の若草伽藍に用いられたものと同じ軒瓦が出土しており、そこから古代の野洲郡と栗太郡に影響力を持っていた渡来系豪族の存在に言及している。
続く第二部では、各地域にさらに踏み込んだ論考を展開。第三部では近江の古代寺院に関する論文に書き下ろしを加えて再構成した論考を収録した。また、軒瓦の文様や伽藍の配置、古代近江の有力氏族などについて分かりやすく解説したコラムも収録している。
小笠原名誉教授は「本を読んだ人たちには、実際に古代寺院の現地を訪ねてほしい。そうすることで古代近江への理解の仕方が変わってくる」と述べる。
同書は四六判、全324ページ。定価2970円(税込)で県内の主な書店やインターネット書店などで販売している。書籍に関する問い合わせはサンライズ出版(TEL0749―22―0627)へ。






