県内の琵琶湖と河川のPFAS調査結果
<特別寄稿>
野洲川上流でPFNAが米国基準の10倍
元大阪市立大学教授 日本環境学会元会長 畑 明郎氏
【全県】 最近、PFAS(ピーファス=有機フッ素化合物)による水道水、地下水、河川水などの汚染が深刻化している。県内でもこのほど、大津市和邇川上流の支流でPFAS(PFOS+PFOA)が国の暫定指針値50ナノグラム/リットル(注1参照)を初めて超える68ナノグラム/リットルが検出された。また、甲賀市土山町の野洲川上流の次郎九郎川でもPFASの一種のPFNAが最大108ナノグラム/リットル検出され、米国基準10ナノグラム/リットルの10倍以上になった。そこで、日本環境学会元会長の畑明郎氏(竜王町)に、県内河川のPFAS汚染状況について寄稿してもらった。
県が調査した2022年度(注2参照)の県内の琵琶湖と河川のPFAS(ピーファス)(PFOS+PFOA)の調査結果は表の通りで、PFASの最大値は大津市の和邇川となっている。和邇川流域には、産廃処分場などが多数あり、これらが汚染源と考えられる。
ちなみにPFASは、有機フッ素化合物の略称であり、分解しにくいので、永遠の化学物質と言われる。自然界には存在せず、PFOS(ピーフォス)とPFOA(ピーフォア)などが最も広く使用された。また最近では、PFNAも国際的に規制されている。
これらのPFASは、泡消火材、金属メッキ、コーティング剤、電子機器や半導体の製造など幅広く利用されたが、深刻な地下水や土壌汚染が発生し、発がん性などの健康影響が懸念されている。
●市民団体が和邇川上流の支流を今夏に調査
市民団体の環境しがの会(山田利春代表)が和邇川上流の支流で今年7月と8月に採取した水からPFAS(PFOS+PFOA)が48ナノグラム/リットルと68ナノグラム/リットルという国の暫定指針値50ナノグラム/リットルの前後が検出された。県内河川で国の暫定指針値を超えたのは初めてのことである。
●畑氏が野洲川上流域の甲賀市土山町を調査
今年4月20日付け滋賀民報によると昨年度に野洲川を取水している県企業庁の水口浄水場原水からPFASが41ナノグラム/リットル(浄水は8ナノグラム/リットル=米国基準値)検出された。野洲川上流の甲賀市土山町には、県営の産業廃棄物処分場が新旧2か所あり、これらが汚染源の可能性がある。
そこで、私(畑氏)は今年8月13日、野洲川上流域(甲賀市土山町)のPFAS調査(採水)を6地点で行い、京都府立大学の原田浩二教授に分析してもらった。その結果、旧処分場の影響がある次郎九郎川で最大PFOAが11ナノグラム/リットル検出されたが、その他地点は10ナノグラム/リットル未満であった。
しかし、今年5月に開催されたストックホルム条約等締約国会議に新たに規制されたPFASの一種PFNAが、旧処分場の影響がある次郎九郎川で最大108ナノグラム/リットル検出された。PFNAの米国基準値は10ナノグラム/リットルであり、その10倍を超えたのだ。PFNAについては日本でも規制が検討されている。
●竜王町の祖父川、善光寺川で米国水質基準の2倍
竜王町はこのほど、今年1月下旬に採水調査した日野川合流前の祖父川、善光寺川および中津井川のPFAS(PFOS+PFOA)検査結果をまとめた。それによれば、祖父川19ナノグラム/リットル、善光寺川16ナノグラム/リットル、中津井川5ナノグラム/リットルであった。
県内の河川と琵琶湖の22年度のPFAS調査結果は表の通り、日野川本流全域は11ナノグラム/リットルであり、祖父川と善光寺川は、日野川を上回る。
中津井川は5ナノグラム/リットルと琵琶湖北湖4~5ナノグラム/リットル並であり、あまり汚染されていない。祖父川と善光寺川は、国の暫定指針値50ナノグラム/リットルを下回るが、米国の水質基準値8ナノグラム/リットル(PFOS4ナノグラム/リットル+PFOA4ナノグラム/リットル)の2倍以上であり、何らかの汚染源があると考えられ、汚染源調査を実施する必要がある。
たとえば、祖父川流域には、自動車関連工場や湖南工業団地があり、その工場群がPFAS汚染源の可能性がある。また善光寺川流域にも、鏡工業団地があり、その影響も考えられるからだ。
(注1)ナノグラム=非常に小さな重さの単位で、1ナノグラムは、1グラムの10億分の1に相当する
(注2)23年度から、瀬田川を除く24河川は、5年ですべての河川を一巡するローテーション調査に変更されたので、今回は22年度調査結果を使用した







