少量生産でマーケティング重視 情報発信で農業の「見える化」
◇湖南・甲賀
後継者不足に悩む農業だが、湖南市では佐々木由珠さん(30)と三峰教代さん(29)が脱サラして今春から就農し、女性の感性を生かした新しい農業を模索している。
差し出されたカラフルな名刺には、「fm craic」の文字が踊る。「fm」は英語のfarm(農園)とFMラジオのfmをかけ、「craic(クラック)」はアイルランド語で「楽しい、心地良い」という意味で、「楽しい農業を発信したい」との願いが込められている。
自然豊かな滋賀県で、自分らしいスタイルでできる仕事は何かーー。「それが、たまたま農業だったんです」と佐々木さん。二人は大阪・東京でそれぞれ仕事をしていたが、都会にはないのんびりとした滋賀県の雰囲気を見直し、一念発起して農業への転身を決意した。
借用した農地は八アールで、通常の専業農家と比べかなり小さい。「だからこそ、手のかかる無農薬栽培ができるし、マーケティングにも力を入れられます」と、三峰さんはきめ細かな経営をアピールする。
栽培するのは、湖南市の伝統野菜である下田なすなど変わりダネばかり。販路の開拓では、作物を名刺代わりにてくてく歩く。居酒屋へ飲みにいく時もなすびを持ち込んで、店員に売り込んだこともある。情報発信するブログでは、伝統野菜の調理法や、農場の出来事を掲載し、「見せる農業」を意識する。
都会で忙しく働いていた頃と比べて、自然に向き合う農業を営むようになってから、心に余裕のある暮らしに一転した。「なるべく細く長く農業をしていきたい」と語る二人は、丹誠こめた作物を愛おしそうに見つめた。







